2022.03.03
# 医療・健康・食 # 社長 # 週刊現代

ロート製薬の社長が語った、「多角化」ではない「多柱化経営」の中身

再生医療から畜産業・飲食店経営まで
夏目 幸明 プロフィール

今は詳しく話せず残念ですが、実は「え、これが治るの!?」と世界を驚かすことができる研究も進んでいますよ。話せるものでは、新型コロナウイルスによって引き起こされる重症の肺炎も、再生医療で改善できるよう治験を積み重ねています。

私が経営者になれたのは、子どもの頃、実家が商売をしていたからでしょう。祖父の時代はまんじゅう屋で、今は兄が住宅建材を販売しています。

直感と言うと「当たるも八卦、当たらぬも八卦」と思われがちですが、私は根拠があると思います。直感は誰にでもありますが、様々な商売に対しアンテナを張り巡らせることが大切なのです。

市場環境はどうか、顧客の変化はないか、変動要因は何か、といったことを感じ取っていると、直感が磨かれ、当たるようになります。

私は「熟慮断行」という言葉が好きです。普段から熟慮を重ねているからこそ断行できるのだと思います。

娘の病から学んだこと

仕事上での苦労話はありません。私生活では娘が心臓病を持って生まれたことが人生観に大きく影響しました。

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それまで、仕事に出かける時に長男から「また来てね」と言われるくらい、家に帰らず夢中で働いていました。しかし、世の中にはもっと大事なことがあると知ったのです。

娘は小学校5年生までに3度手術を行い、私はその度に断食しました。娘は点滴でしか栄養をとれなかったのです。私は一緒に闘いたくて、時には1ヵ月も水だけで過ごしました。

そして今、娘は病を克服し、ピンピンしています。きっと、人類が長年かけて医学を進歩させてきたためでしょう。私は彼女のおかげで、少し自分本位ではなくなれた気がします。

これは経営にも通じることです。仙人ではないので私心をゼロにはできませんが、リーダーたる者、私心は50%未満に抑えるべき。それが自然と身に付いたのです。

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