ウクライナ侵攻、キエフ制圧の先に見据えるプーチンの「本当の狙い」

それでも「戦略的敗北」は避けられない
北野 幸伯 プロフィール

ウクライナが健闘できている3つの理由

ウクライナ軍が健闘している。いや、「ウクライナ国民が健闘している」というべきだろう。

侵攻開始から6日が過ぎた現時点で、ロシア軍はキエフ、ハリコフを含む主要都市を制圧できていない(だが、ロシア軍は現在、キエフ攻略にむけて、大軍を集結させている)。

なぜ、ウクライナは、強大なロシア軍と対等に戦えているのだろうか?

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考えられる一つ目の理由は、「士気の違い」だ。国際社会の反応を見てもわかるが、今回のウクライナ侵攻は、「誰がどう見ても」ロシアが悪い。

ウクライナは、ロシアを攻撃していない。ロシアが、ウクライナに侵攻してきたのだ。だから、ウクライナ人には、戦う「正当な理由」がある。

一方のロシア軍には、正当な理由がない。プーチンが何をいっても、これは自衛戦争ではない。

筆者は2月16日の現代ビジネス記事で、「全ロシア将校協会」がウクライナ侵攻に反対し、プーチンの辞任を要求した事実に触れた。自国の将校たちまでもが、この戦いに反対しているのだ。

⇒【全ロシア将校協会が「プーチン辞任」を要求…! キエフ制圧でも戦略的敗北は避けられない】

軍人は、大義があるとき、「国を守っている」と確信しているとき、強くなれる。しかし、大義が理解不能で、世界中が「侵略戦争だ!」と非難するような状況で存分に戦えるだろうか?

 

二つ目の理由は、「ウクライナ国民」が動員されたことだ。

ゼレンスキー大統領は「国民総動員令」を出し、18歳から60歳の全男性が戦いに参加する。キエフでは、このカテゴリーの人に武器が配られている。

ウクライナを包囲したロシア軍は、19万人とされている。ウクライナ軍だけと戦うなら簡単に勝利できるだろう。しかし、「ウクライナ国民」と戦うとなると、形成は逆転する。

ウクライナの人口は、およそ4300万人。正確にはわからないが、男性はその半分の2150万人いるとしよう。そのうち18歳から60歳までの男性は、少なくとも1000万人はいるだろう。

仮に1000万人のウクライナ国民が皆、武器を持って戦い始めたら、19万のロシア軍は勝てるだろうか? しかも、武器は、欧米諸国からほぼ無尽蔵に提供されつづけている。

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