ウクライナ侵攻、キエフ制圧の先に見据えるプーチンの「本当の狙い」

それでも「戦略的敗北」は避けられない
北野 幸伯 プロフィール

三つ目は、ゼレンスキー大統領の勇気だ。

世界中のメディアを見てわかるのは、プーチンは「ヒトラーのような侵略者」として、ゼレンスキーは「祖国を守る英雄」として報じられている。

彼は、今もキエフにとどまり、一日に何度も動画メッセージを発信している。もしもゼレンスキーが逃亡していたら、国民は「もうダメだ」となり、総崩れになったかもしれない。だが彼は、逃げずに戦う姿勢を示しつづけている。

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私たちは、「大国が小国に勝つのは当たり前だ」と考える。しかし、必ずしもそうとはいえない。いい例が、世界最強国家アメリカだ。

アメリカは、朝鮮戦争で引き分け、ベトナム戦争、アフガニスタン戦争で敗北している。初戦は圧倒的に強いのだが、全国民を敵に回した長期戦になった時、超大国でも小国に負けることはあるのだ。

同じように、ロシア‐ウクライナ戦争においても、「首都を陥落させたら終わり」とはならないかもしれない。ウクライナ成人男性1000万人対ロシア軍19万人の戦いが長期化すれば、ロシア軍が敗れる可能性もゼロではないのだ。

 

ベラルーシではじまった停戦交渉

2月28日、ウクライナ侵攻後はじめてのロシア‐ウクライナ交渉が、ウクライナ国境に近いベラルーシのゴメリで開催された。

ロシア側の要求は、次の4点。

1)ウクライナ政府が、クリミアをロシア領と認めること
2)ウクライナ政府が、ルガンスク人民共和国、ドネツク人民共和国の独立を認めること
3)ウクライナの非軍事化、非ナチ化(ロシアは、現在のウクライナ政府をネオナチスと呼んでいる)
4)ウクライナの中立化、NATO非加盟の保証

一方のウクライナ側は、「(クリミア、ルガンスク、ドネツクを含む)全土からのロシア軍撤退」を求めている。

両国の主張は全く異なるため、一度の交渉で歩み寄ることはできなかったようだ。だが、交渉は、今後も継続していく。

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