2022.03.05
# エンタメ

“東京の地場産業”だった「アニメ制作」が、なぜかいま地方に続々進出しているワケ

「東京から遠い」はもう関係ない?
数土 直志 プロフィール

地方から海外へ、さらに広がるアニメスタジオ

2022年以降もアニメスタジオの地方進出は、続きそうだ。アニメ制作のデジタル化は始まったばかりで、今後もさらにドラスティックな進化を遂げるだろう。それと共に地方立地の障害はますます少なくなるに違いない。

そうなれば快適な生活を求め、地方でアニメを作りたい人はもっと増えるかもしれない。コロナ禍をきっかけに都心でなく、環境のより良い地方で暮らして働きたいと考える人も増えているが、それはアニメ業界も同様だ。条件さえ整えば、地方就業を選ぶ人は多いだろう。

アニメ業界の人手不足もまだ当分は続きそうだ。むしろ少子化もあり、人材争奪はさらに競争が増しそうだ。スタジオ進出が相次いだ京都や福岡では、すでに人材獲得が当初より厳しくなったとの声も聞かれる。現在は札幌や名古屋、仙台などが注目されるが、そこでも競争が増せば今後はさらに別の地域に可能性が広がる。

土地の快適さを売りにする高知のように、これまで思いもつかなかった土地が名乗り出ることもあるに違いない。

さらにその先には、海を越えた国々に可能性が広がる。デジタル化やネットが制作における距離の問題をなくすなら、それは国内外を問わない。国境を越えての選択も可能なはずだ。そこには日本アニメを見て育ち、憧れる才能豊かな若者があふれている。

すでに一部のアニメスタジオでは、海外へのスタジオ進出が始まっている。CGアニメ制作のポリゴン・ピクチュアズはマレーシアとインドに進出、『ポケットモンスター』も作るOLMはマレーシアにデジタル作画のスタジオを持つ。さらに最近では国内のスタッフがインターネットで知り合ったクリエイターに、ネットを通して仕事を発注する例も出てきているという。

ここで残る大きな壁は言葉である。距離のある時のイメージのやりとりは、言葉や文章でのやりとりとなるからリアル以上に難しい。しかし翻訳ソフトなどコミュニケーションツールが発達すれば、この壁さえ打ち破る日はいずれ来るのではないだろうか。いずれにしろ2020年代のアニメ制作の常識は、これからまだまだ大きく変わることになりそうだ。

 

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