『闇金ウシジマくん』『るろうに剣心』『コウノドリ』『大豆田とわ子と三人の元夫』『アバランチ』と様々なドラマや映画でその演技に大きな感動の声が寄せられる高橋メアリージュンさん。
メアリージュンさんはとても仲の良いご家族の中で育ちました。その間には、金銭面の事情で環境ががらりと変わったり……。演じるという仕事は、その役に寄り添わないとできないこと。メアリーさんは様々な体験を経て、優しさの柱を持っているからこそ、どんな役の心も拾い上げ、なりきることができるのではないでしょうか。
そんなメアリージュンさんの優しさの秘密に迫る連載7回のテーマは「卒業」。前編では出席できなかった中学の卒業式について伝えていただきます。
飛行機に乗れず、出席できなかった卒業式
3月は卒業式のシーズンですね。今年卒業される皆さん、おめでとうございます。皆さんの未来が希望に満ちたものでありますように!
実は、卒業式には苦い思い出があります。連載の第4回でもお話ししましたが、私は中学時代、家庭の事情でアメリカ・ラスベガスに留学をしていました。日本では中学3年生に当たる年齢でしたが、アメリカでは高校1年生の扱いになります。現地で高校生として勉強しながら、「途中でこっちに来ちゃったから無理だろうけど、やっぱり中学の卒業式には出たかったな……」と残念に思っていました。

そんなある日、中学校から「卒業式に出席できます」という嬉しい連絡が。すぐにアメリカの叔母が航空券を手配してくれ、「みんなと一緒に卒業式に出られる!」とワクワクしながらパッキングをしました。家を出ようとしたら、なんと代理店のミスで航空券の名義が別の人の名前になっていて。結局私は予定していた便に搭乗できず、卒業式に出られなかったのです。
日をあらためて帰国したものの、その後はアルバイトをしたり、オーディションを受けて芸能界デビューを果たし、モデルの仕事が忙しくなったこともあって、中学時代の仲間とはそれっきり。仲のいい友人とは会っていましたが、他の人と顔を会わせる機会はほぼなくなっていました。
同級生と再会できたのは成人式の日です。その頃はまだテレビにも出ておらず、芸能活動は『CanCam』のモデルのみだったのですが、当日は私のまわりに人だかりができてしまって。ドバーッと人が寄ってきて会場に入っても前に進めず、あちこちから話しかけられたり写真を撮られたり。そんなこと想像もしなかったので驚きました。でも全然イヤではなかったですね。むしろ「私のことをいいと思ってくれたり、写真を撮りたいと思ってくれる人がこんなにいるの!?」と、単純に嬉しく感じていました。
と同時に「人間って、こんなに簡単に手のひら返しができるんだ。面白いなあ」とも。