「ひとりではない」と思ってほしい

渋谷さんは陽子さんに出会い、赤ちゃんを亡くした地域の女性が話しに来られる場「玉響(たまゆら)」を一緒に立ち上げた。最初の場をもって、赤ちゃんを亡くしたふたりの女性と陽子さん、渋谷さんの4人で語り合ったのは2009年のことで、愛花ちゃんが亡くなってから2年目のことだった。

玉響の案内パンフレット。地域の病院で、必要な人に手渡されている 撮影/河合蘭
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陽子さんは、妊娠中18トリソミーを強く疑われていた時の疎外感や愛花ちゃんを亡くした悲しみから長い間癒えることがなかったが、同じ思いをした親だけが分かち合えることはたくさんあるとわかってきて、ピア・サポーター(同じ経験をした支援者)の講習を受けていた。

玉響は、自分自身がその経験をした陽子さんと、多くの事例を見てきた専門家の渋谷さんが必ず2人で話を聴いてくれる。玉響の存在を知ることができるパンフレットは、渋谷さんとつながりのある地域の病院を通じて、必要な人に配布されている。

「玉響」とは、勾玉をふたつカチンと合わせた時の響きのこと、と陽子さんは言う。
一番の願いは、来た方に『自分はひとりではない』と思っていただくことです。私もまだ傷が癒えていないですが、そんな私が弱音を吐くことも『この人は私と同じだ』と思ってもらえるから悪いことではありません。

一方で、最近お子さんを亡くされたばかりの方から見れば、私はもう、一日中悲しみに浸っている状態ではありません。同じ体験をした人間が、少し前を歩いていて、その背中を見ることができるのはすごく重要なことではないかと感じます」