白河:隔たった報道をされること自体がハードルになって、皆さんの気持ちをくじいているということですね。これもジェンダーに基づくバイアスですね。

能條:政治系、社会系の固い番組でさえ、ジェンダーレンズを通っていないことが多いのです。ゴシップ系の週刊誌も悪いのですが、いわゆるオールドメディアでも男性だったら存在しないハードルが、女性にはたくさんあると見ていてわかります。そこがまず変わる必要があります。

白河:それはメディアの意思決定層に女性がいないことも関係していますね。特に現場の意思決定者であるデスクが、在京7局で女性ゼロという状態が続いています。

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日本の政治家の再就職問題

能條:そうだと思います。「それがダサい」という感覚がないからやってしまうのだと思います。すぐには変化しないので、じわじわ変えていかないと、私たち世代が30代、40代になったときに大変です。

それと立候補の一番のボトルネックは「再就職できるのか?」という不安です。政治家塾など、政治家を増やす活動をしている人たちに話を聞くと、基本的に勇気の問題として扱われます。「勇気を持てば大丈夫だよ」というエンパワーメントは各政党で取り組んでいるのですが、私たちが求めているのは勇気というよりは、安心できる保障なんです。

〔PHOTO〕iStock
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白河:分かります。例えばアメリカでは、政治に関わる人たちが政権交代ごとに結構入れ替わりますよね。企業の一線で働いていた人が、指名されて大統領のスタッフになったり、政治家と実務家を行ったりきたりする人もいます。日本の政治家は職業化していますよね。能條さんが留学していたデンマークはどうなのでしょうか。

能條:デンマークでは地方議員はお金をもらえないんですよ。名誉職なので。交通費などの経費は出ますが、生活費は稼げません。他の職業しながら政治家をしているので、もし落ちたとしても今までと同じ生活が続くだけです。

白河:だから仕事が終わった後に集まれるように、議会も夜に開くのですよね。昼間はスーパーのレジを打っていて、夜は議会に……という記事を読んだことがあります。日本の地方議会も担い手がないところが増えているから、そんなふうにしたらいいのに。

能條:政治家の年齢もすごく若いのです。辞めた後にも社会奉仕という形で仕事ができる。会社としても受け入れる土壌があり、政治家をやめても再スタートが切りやすいという特徴があります。

白河:政治家になったり、一般市民になったりすることが比較的柔軟にできれば、多様な経験を持つ人が政治の世界に関わることができますね。