2022.03.11
# ポスト構造主義 # 現代思想

世界の単純化が進む今だからこそ知っておきたい、現代思想

人生の多様性を守るために
「現代思想は、秩序を強化する動きへの警戒心を持ち、秩序からズレるもの、すなわち『差異』に注目する。それが今、人生の多様性を守るために必要だと思うのです。」
現代思想の旗手・千葉雅也氏が満を持して放つ「入門書」の決定版、ついに刊行! 本日はその『現代思想入門』のなかから「はじめに 今なぜ現代思想を学ぶのか」の前半部を特別に公開します!(後半部はこちら

今なぜ現代思想を学ぶのか

この本は現代思想に入門する本です。

ここで言う「現代思想」とは、1960年代から90年代を中心に、主にフランスで展開された「ポスト構造主義」の哲学を指しています。フランスを中心としたものなのですが、日本ではしばしば、それが「現代思想」と呼ばれてきました。

本書では、その代表者として3人を挙げたいと思います。

ジャック・デリダ、ジル・ドゥルーズ、ミシェル・フーコーです。

他にジャック・ラカンやカンタン・メイヤスーなどにも触れることになりますが、この本ではとにかくデリダ、ドゥルーズ、フーコーという三つ巴をざっくり押さえます。この三人で現代思想のイメージがつかめる! それが本書の方針です。

では、今なぜ現代思想を学ぶのか。

どんなメリットがあるのか?

現代思想を学ぶと、複雑なことを単純化しないで考えられるようになります。単純化できない現実の難しさを、以前より「高い解像度」で捉えられるようになるでしょう。

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──と言うと、「いや、複雑なことを単純化できるのが知性なんじゃないのか?」とツッコミが入るかもしれません。ですが、それに対しては、「世の中には、単純化したら台無しになってしまうリアリティがあり、それを尊重する必要がある」という価値観あるいは倫理を、まず提示しておきたいと思います。そう聞いて、「ふむふむ、そうだよな」と思ってくださるならいいのですが、「なんじゃそれは」とイラつく人もいるかもしれない。ともかく読み進めてみて、役に立つものかどうかご判断いただければ幸いです。

もう少し、この冒頭で、今なぜ現代思想なのかを説明させてください。