ロシア軍が破壊した…超大型輸送機「ムリーヤ」の喪失が世界に与える影響

東日本大震災でも活躍

世界で唯一の輸送機が破壊された

ウクライナに侵攻したロシア軍により破壊された超大型輸送機「アントノフ225ムリーヤ」。航空ファンのみならず、メガ空輸を必要とする関係者から「残念だ」との声が上がる。人命を奪い、インフラを破壊する侵略行為が、世界の物流にまで影響することが可視化された。

世界最大の輸送機「アントノフ225ムリーヤ」(ウィキペディアより)
 

「ムリーヤ」はウクライナ語で「希望」の意味。世界に1機しかなく、災害救援に活用する各国政府やワインの新酒ボージョレ・ヌーボーなどの大量輸送を求める民間業者から引っ張りだこで、まさに「希望」の象徴だった。

日本との縁は深く、2010年にあった中米ハイチの大地震の際、政府が現地で展開する国連平和維持活動(PKO)への自衛隊派遣を決めたのを受け、防衛省がチャーターして重機類を空輸。翌11年3月に発生した東日本大震災では救援物資150トンを積んでフランスから成田空港へ飛来した。

新型コロナウイルスが世界規模で感染拡大した2020年は医薬品の空輸に活用され、同年5月、カナダへ医療物資を運ぶ途中、中部国際空港に寄航している。

ムリーヤは1980年代、当時ソ連を構成する共和国だったウクライナのアントノフ設計局がソ連版スペースシャトル「ブラン」を輸送するために開発した。既存の大型輸送機「アントノフ124ルスラーン」をさらに大型化し、左右3基ずつ6基のエンジンを備えた。

アントノフ225の原型になった「アントノフ124ルスラーン」(ウィキペディアより)

1988年に初飛行したが、肝心のブランが宇宙を1度無人飛行した後の91年にソ連が崩壊、目的が消えたムリーヤはその後、放置された。1999年、ウクライナのアントノフ航空がルスラーンを使った大型空輸ビジネスで大成功を納めると、ムリーヤを1年以上かけて整備し、2001年に現役復帰させた。

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