プーチンが喜び、バイデンが迷惑し、安倍は激怒する「岸田首相の平和主義外交」のゆくえ

自らカードを放棄した首相

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻は、世界の外交・安全保障観を揺るがせた。当たり前のように享受している平和がある日突然、他国からの侵攻で破壊され、頼りにしていた援軍も現れないという現実はあまりに冷厳だ。「明日は我が身」と危機感を強める欧州では、これまでの「国是」を転換する国も相次いでいる。

だが、ロシアや中国といった核保有国と向かい合う日本はその議論すらタブー視され、岸田文雄首相は自らカードを放棄する道を選択した。果たして、日本は平和と安全を守り続けることはできるのか。

ロシアのプーチン大統領が2月24日の軍事侵攻後も言動をエスカレートさせている。欧米や日本などが非難を強め、ロシアへの制裁強化に踏み切ったことに反発。「西側諸国は経済分野で非友好的手段をとり、NATO(北大西洋条約機構)は攻撃的な声明を出している」などと怒りを見せ、27日には核戦力部隊を含むロシア軍の抑止力を特別警戒態勢とするよう命令した。

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「ロシアは最も強力な核保有国」と威圧するプーチン大統領が、「核カード」を手に恫喝している状況に欧米は揺れる。「話せばわかり合える」といった綺麗ごとは有事に意味をなさず、核戦力で脅しをかけてくる相手といかに対峙するのか、核を本気で使いかねない敵国から自国をどのように守るのか、という現実に即した安全保障政策の見直しを余儀なくされているのだ。

ドイツのショルツ首相は27日、これまで抑制方針だった国防費を対ロ防衛のため大幅に引き上げる歴史的転換を表明し、独連邦軍の軍備増強を進める考えを示した。ドイツはロシアからの天然ガスを運ぶパイプライン「ノルドストリーム2」計画も凍結するなど見直しの動きを急ピッチで進める。

「永世中立」を国是とするスイスは、欧州連合(EU)と歩調を合わせてプーチン大統領やラブロフ外相を対象とする資産凍結などの対ロ制裁に加わると表明。スウェーデンも紛争地域には武器を供与しないとの国是を破り、ウクライナに提供すると発表した。アンデション首相が「これがスウェーデンの安全保障にとって最善」と言うように、いずれの国家もウクライナ危機をターニングポイントに「国是を守って、平和と国民の安全を守れなければ意味がない」と必要な転換を図っているところだろう。

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