2022.03.14
# アメリカ

日本は知らない…コロナ禍で「議論好き」なアメリカに“大変化”が起きていた…!

逆風の中にあった希望とチャンス
河野 龍義 プロフィール

「積極的な議論」という土壌のアメリカでも…

実際の教育現場で一番驚いたことは、学生の発言数が著しく減ったことだ。人種や性別に関係なく在籍する学生の発言が著しく減ったのである。「アメリカに比べて日本の大学はみんなで意見を言い合う土壌が足りない。双方で工夫して学生が安心して意見を言える雰囲気を作るべきだ」と言ってきた私にとって、ずっこけてしまうほど本当に予想外の出来事であった。

この現象は研究環境でも見られた。研究が盛んなアメリカの大学や研究所では毎週のように著名な研究者を招待してさまざまなセミナーが開催される。セミナーでは学生も先生も関係なく学際的な雰囲気の中でたくさんの質問が飛び交い、時には笑いも織り交ぜながら非常に活発な議論が行われる。アメリカの大学の本当に素晴らしい特徴の一つである。

しかし、セミナーがオンラインに切り替わり、1年ほど過ぎた頃から大学院生やポスドクからの発言が極端に減ってしまった。苦肉の策としてコミュニケーションを増やすためにちょっとしたご褒美なども用意したが虚しい結果に終わった。

どうやら学生たちはオンラインセミナー中、必要な情報だけを聞き、質問したい内容が無ければセミナー中であっても別のタスクに移っているようだ。まるでYouTubeの扱いである。

写真はイメージ/photo by iStock
 

ただ、このことを持って「学生の積極性が消失した」というわけではない。

見方によっては参加形態に自由度が生まれたとも言える。また実際に対面形式では以前のような活発な質疑も見られる。それどころか、セミナーの発表者と直接にSNSで繋がったり、発表者のSNSをフォローしたり舞台をSNSに移し、積極的な議論が交わされている場面を多く目にするようになった。その傾向はリーダーシップの強い学生によく見られた。

私自身もこのパンデミックを機にオンラインで繋がる研究仲間が劇的に増え、これまで出会うことのなかったような異分野の研究者とも容易に繋がることができるようになった。

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