哲学者が明かす「自分の頭で考える技術」=“独学の思考法”とは

答えなき時代に“考える力”を問い直す
「不確実な時代」、「確実な答えがない時代」と言われる時代の中で、自分の頭で考えて学びを深めていくの力=「独学力」こそ、これからの時代を生き抜くために必須のスキルだーー。気鋭の哲学者・山野弘樹の新刊『独学の思考法 地頭を鍛える「考える技術」』から、「はじめに」を公開します。

自ら思考する力が本質的に問われる時代

今、ビジネスや教育の現場で「不確実な時代」「確実な答えがない時代」という言い回しがしばしば用いられています。既存の常識が絶えず揺れ動き、明日世界で何が起こるのかも正確に予想できない──。そんな先行きの見えない不安が投影されています。

このような時代状況の中で喫緊の課題となっているのが、「いかにして自ら思考する力を身につけられるのか」という問題です。絶対的な答えがないわけですから、与えられた解答に満足するのではなく、自ら学び、問題を発見する思考力こそが必要とされているわけです。

昨今、コロナ禍を受けて自宅で過ごす時間が増えた方も多いからか、「独学」のニーズがとても高まっています。先行きの見えない不安の中で、「新しい生き方」、「新しい働き方」を目指して学習するという姿勢は、ビジネスパーソンをはじめこれからの時代を生きるすべての方々に求められていると言えるでしょう。

ですが、実際に「独学」をするときに、その上手い方法が分からずに困ってしまう人も多いようです。「書店に並ぶ膨大な本の中から、どれを選べば良いか分からない」「本を読んでもすぐに内容を忘れてしまう」「闇雲に勉強しようとしても成果が上がらず、効率が悪い」……など、独学には多くの方が直面する「課題」が付き物なのです。

正解がない時代において「何を、どのように勉強すれば良いのか」という問いに答えることは容易ではありません。明確なゴールを設定しやすい「参考書」を用いた学習の場合でさえも、「本当にこの本を読み通せば自分の望む知力が手に入るのか?」ということは、誰も教えてくれないでしょう。

何をどのように学ぶのか、常に自分自身に問いかけながら前進していく独学の道のりは、どちらが前なのかも分からない闇の中を歩み続けるようなものです。こうした闇の中を、何の武器や道具も持たないままに歩き始めてしまったら、私たちは幾度となく途方に暮れてしまうことでしょう。

そう、独学こそ「自ら思考する力」が本質的に試されるのです。

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独学を深めるコツ=「考える技術」

本書が目的とするのは、効果的に「独学」=答えなき時代に自分の力で探究を行うための方法を皆さまに伝えることです。

ここで用いる「独学」という言葉には、「すぐには答えの出ない問いについての学習」という意味が込められています。例えば、「テスト勉強」や「資格の勉強」が目標のはっきりしている「達成のための独学」だとすると、「社会が抱える本質的な課題とは何か」「その課題に対して自分はどう考えるか」といった大きな問いを探究する独学は、学びのプロセス自体を自分なりに考えることが求められる「探究のための独学」であると言えます。

そして、この本を通じて皆さまにお伝えしたいのは、「探究のための独学」を効果的に深めるための「考える技術」です。本書では「そもそも『考える』とは何をすることか?」、「何をすれば、人は『考えた』ことになるのか?」という問題について真正面から考えていきます。言い換えれば本書は、「考えるとは何か?」ということについて徹底的に考える本に他ならないのです。

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