日本ではMBAをとっても給与が上がるわけではない
日本ではどうか?
MBAの学費は、私立の一流校で年300万~370万円程度、国公立の一流校で年100万~150万円程度である。このように、アメリカの場合よりずっと安い。
しかし、それで喜ぶわけにはいかない。なぜなら、大学院卒の年収は低いからだ。
文部科学省科学技術・学術政策研究所の「博士人材追跡調査」(2020年1月)によると、博士課程を修了した人の翌年度の年収は、社会科学と理学が300万~400万円未満、人文科学は100万~200万円未満だ。
上で見たアメリカの場合に比べると、10分の1とか20分の1のオーダーになってしまう。
日本では、若年期には大学卒との格差がほとんどないので、学費も、逸失所得も取り戻せない。
日本とアメリカの給与の格差が大きいことが問題にされている。それでも、日本の平均値賃金は、アメリカの6割程度だ(OECDのデータによると、2019年で58.8%)。大学院卒初任給における格差は、それよりはるかに大きい。
こうした状態は、いまに始まったことではない。昔からそうだった。私がアメリカの大学院で勉強していたとき、「日本に戻ったら、給料はどれだけ上がるのか?」と何度か聞かれた。「少しも上がらない」と応えると、怪訝な顔をされた。