日本では専門家が報われていない
アメリカでは、専門家が報われている。ここでみたビジネススクールについて言えば、経営の専門家だ。アメリカでは、経営者とは「マネージメント」という仕事の専門家なのだ。その知識と能力に、高い報酬が支払われている。
それに対して日本では、経営者とは、会社の階段を一生をかけて昇りつめた結果、「偉くなった」人のことだ。経営の専門家ではない。
同じことが、コンピュータサイエンスなど、あらゆる専門的な職業について言える。
昔はそれでもよかった。しかし、いまは違う。学びたい若者の要求を満たすための仕組みがあるかどうか、そして、学んだ専門知識に対して報われる社会であるかどうか。この違いがもたらす結果が、きわめて大きくなってしまった。
世界の時価総額ランキングでトップ100位までに入る企業が、日本には1社(トヨタ自動車)しかない。しかし、アメリカには60社もある。
これらの企業が高い生産性を実現しているから、アメリカでは高い賃金を出せる。そして、有能な専門家が活躍して、企業の生産性をさらに上げる。こうして、好循環が発生している。
日本は、低賃金と低生産性の悪循環に陥っているとしか考えられない。