東日本大震災から11年。東日本大震災では、多くの方の命が奪われた。そして、人だけでなく、一緒に暮らすペットも不幸に見舞われたケースが多かった。現在は、地震などの災害があった場合、ペット同行避難が推奨されるようになったが、11年前はそんな空気もなく、ペットと暮らす被災者の方々はとても苦労されたという話も聞く。

災害時は人も不安だが、ペットも違う環境で精神的に不安定になりやすい。ペットは二の次とされてしまうこともあるので、飼い主が事前に準備することが大切だ。photo/iStock

「11年前、私はまだ大学生で、ペットも子どももいませんでした。大学から徒歩圏内に住んでいたこともあり、なにかあってもとりあえず大学に避難すれば安全だろうと考えていました。あれから11年が経ったいまは、結婚し、子どもが2人、犬が2匹、猫が2匹の大所帯となり、守るべきものが増えました。私自身もいざというときのために何を準備すればいいのか考えなければと感じています。この機会に、みなさんといっしょに考えていきたいと思います」

というのは、獣医師で作家の片川優子さんだ。今回いざというとき慌てないために、「準備しておきたいペットと災害」について寄稿してもらった。

片川優子さんの連載ペットと生きるために大切なこと
今までの記事⇒こちら

以下、片川さんの寄稿です。

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普段から多めに準備、把握しておきたいフードと薬

【フード】
災害時には、ペットのフードがすぐ手に入るとは限らない。フードはギリギリの量を買うのではなく、少し多めに買って、ローリングストックしていくと良いだろう。ペットが尿石症や腎臓病などの病気のため特定のフードしか食べられない場合は、特に多めに在庫を持っておくと安心だ。ちなみにコロナの影響で、海外からの輸入が滞り、一時的に欠品したフードも少なくない。国内の災害だけでなく、世界情勢の変化でも思わぬ影響が出ることもあるので注意してほしい。

【水】
災害時は、水も貴重になり、ペットの飲み水もままならない状況になる可能性もある。その場合に役立つのが缶入りのフードだ。ドライフードは水分含有量が5%程度だが、缶入りのウェットフードは90%以上が水分である。有事の際には、缶入りフードを飲み水代わりに利用するのもいいだろう。ただし、ウェットフードはたくさんあるように見えてもカロリーは低いので、ドライフードと併用した方が良い。

また同行避難の際に、重いフードは持てない、消費期限が短くて心配、という場合は、フリーズドライのフードを活用するのも手だ。たとえば『K9ナチュラル』というメーカーは、フリーズドライのペットフードを発売している。水分がほとんど含まれないため、フードはとても軽い上、消費期限が長く、単位当たりのカロリー密度が高い。本来こちらのフードは水を足し、ふやかして与えるものだが、そのままでもあげられる。

こちらがフリーズドライで長期保存できるフード。写真提供/片川優子

また、K9のフードは動物性のタンパク質含有量が高く、嗜好性も高いため、普段とは異なる状況で食欲が落ちたペットでも好んで食べてくれる可能性が高い。腸内のバランスを整える「グリーントライプ(反芻獣の胃袋をフリーズドライにしたもの)」も特に犬で嗜好性が高く、普段とは違うフードをあげる場合や食欲がない場合、これをふりかけのように上からかける、という使い方もできる。もしもの時のために1袋非常用バッグに入れておく、というのもおすすめだ。

【薬】
ペットに持病があり、薬を飲ませている場合、どんな薬をどのくらい飲ませているか、普段から把握しておこう。

被災後、落ち着いたタイミングで投薬を再開したくても、避難時に病院からもらっていた処方薬が手元にないことも考えられる。そんなとき、処方薬の内容がわからなければ、同じ薬を手に入れるのは難しい。かかりつけの動物病院のカルテが見られない状況になったり、かかりつけ以外の動物病院で薬を処方してもらったりすることもある。そういったときのために、具体的な薬名、容量を薬袋に書き、スマホに写真で残しておくとよいだろう。シートごと錠剤をもらっている場合は、シートの写真を撮っておくのもよい。

1回分ずつ錠剤が分包され、明細にも薬の名前が書いておらず、なんの薬を飲ませているかわからない、といった場合は、処方してくれる動物病院に事前に確認しておくべきだ。聞きづらい、と思う方もいるかもしれないが、そもそもなにかわからない薬をペットに投薬し続けるよりも把握していたほうが良いので、ぜひ聞いてほしい。