2022.03.14

「他人を家に入れたくない78歳母」の介護が不安…「貸金庫」のおかげで悩みが晴れたワケ

長野 郁子 プロフィール

(4)介護の共有化

介護がはじまると、子供などのうち、特定の誰か一人がメインでマネージメントすることになる。親子兄弟とはいえお金がからむと無用な諍いが生まれやすい。そこで、親が貸金庫を借りて、他の子供もみな貸金庫カードを持てば、親の介護を「貸金庫」で共有化できる。

具体的なやり方はこうだ。鍵はひとつなのでマネージメントするキーパーソンが持ち、貸金庫カード(何枚でもつくれる)を親と兄弟分つくり保管してもらう。金庫を開けるときには、鍵と貸金庫カードの両方が必要なので、必ず複数人で解錠作業を行うことになり、勝手な流用は防げる。

介護も長期化するとお金や資産のことで意見の齟齬や疑心暗鬼を生みやすいが、そうした不信を生まない環境づくりが必要だ。

(5)遺言書やエンディングノートの保管

遺言書は、公正証書遺言(原本は公証役場保管、正本と謄本を本人保管)と自筆証書遺言(自分で保管もしくは法務局保管)などがあるが、特に自分で保管する遺言書は、遺族などに見つけてもらえなければまったく意味がない。中身を公開するか否かは別にして、存在を知らしめるためには貸金庫に保管しておくのが良いだろう。しかもエンディングノートがあればなお良い。

 

高齢者にとって「貴重品の管理」は重荷

その後、佐和子さんも富美子さんと一緒に近くの銀行に行って小さな貸金庫を借り、兄弟たちにも貸金庫カードを渡したそうだ。入れる物もお母さんと2人で相談して決めた。印鑑や大事な書類の他に亡くなった夫からもらった指輪、それに子供たちのへその緒も入れたそうだ。

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