マンガ/深見じゅん 文/FRaUweb

30年前の作品に集まる熱いコメント

「ドラマ化するからと読んでみたらマリリンにハマって全巻大人買いしてしまった!」
「久しぶりに読んだけどやっぱり痛快!」
「麻理鈴のひたむきさ、前向きさに元気をもらえる」

1988年から1997年に「BE・LOVE」に連載され、37巻が完結したにもかかわらず、2022年の今、リアルに熱いコメントが寄せられている漫画がある。それが深見じゅんさんによる『悪女(わる)』だ。
本作は1991年に講談社漫画賞一般部門を受賞、1992年には石田ひかりさん主演で実写ドラマ化された。

2022年の今多くの人に読まれている最大のきっかけは、もちろん今田美桜さん主演、江口のりこさんや向井理さんなどによって再度新しくドラマ化されることになったこと。それを機に読んでみてハマり、「大人買いしてしまった」という声が多く寄せられているのだ。

(c)NTV

しかしネット書店やSNSのコメントを見ると、投稿は2022年だけではなく、電子書籍化された2010年代から書き続けられている。つまり、30年ずっと愛され続けている作品なのだ。
それはなぜなのだろうか。
まず、ドラマのあらすじからどんな作品なのかを振り返ってみよう。

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大手企業の窓際部署に配属された新入社員

主人公の田中麻理鈴(まりりん・今田美桜)は、三流大学を四流の成績で卒業し、大手IT企業(原作漫画では商社)の窓際部署に配属された新入社員。“姥捨て山”と言われる部署でクールな先輩社員・峰岸雪(江口のりこ)と出会う。目の前の仕事に毎日全力投球する麻理鈴に峰岸は「あなた、出世したくない?」と声をかける。そして彼女の助言を武器に、麻理鈴は会社の最下層から出世を目指すことになる――。

ドラマ『悪女~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~』より (c)NTV
(c)深見じゅん/講談社『悪女(わる)』1巻より

連載の始まった1988年は、女性がお茶くみをするのは当たり前の時代。男女雇用機会均等法で募集・採用、配置・昇進、教育訓練、福利厚生、定年・退職・解雇において、男女差をつけることが禁止されたのは1999年で、つまりは法律では募集や配置上での差別を禁じる法はなかった。1990年代の就職活動においては、そもそも男性と同じような職種での女性の採用は一切なかったり、会社説明会で「女子はほとんどとらないので、男子の方、頑張ってください」と言われたり、女子で採用試験を受けられるのは英検1級をもつ人だったり、そういうことは珍しくなかった。

とはいえ漫画の中でクローズアップして描かれるのは男女格差ということではなく、「仕事をしたいのにさせてもらえない人たち」や、「レッテルを貼られた人たち」が、自分たちの知恵と努力と愛嬌と仲間とのタッグで自分たちの生き方を勝ち取っていく姿だ。「一生懸命働きたい」「仕事で活躍したい」として全力をつくす麻理鈴の姿だ。だからこそ令和になって、改めて今のドラマとして作成されるのだろう。

令和の『悪女(わる)』にも石田ひかりさんが! (c)NTV

しかも、『悪女(わる)』の麻理鈴は「窓際部署」に新入社員で配属されたそんな状況を恨むとかひがむとか、そういうことは一切ない。いま置かれた自分の立場を理解し、目の前のことに全力で取り組んでいくのだ。峰岸の助言に従うことも全力投球。他の部署で嫌がらせされても全力投球。しかしやられっぱなしではなく、ユーモアをもってやり返したりもする。誰かを悪者にするのではなく、笑顔で自分の意見もはっきり言う麻理鈴に、周囲も思わず笑顔になり、どんどん味方になっていくのだ。

(c)深見じゅん/講談社『悪女(わる)』1巻より
(c)深見じゅん/講談社『悪女(わる)』1巻より

マンガの中で登場人物が笑顔になるように、読者も恨み言を言わず、かといって耐え忍ぶのではない麻理鈴の生き方を見ると、思わず笑顔になる。そして、今できることを全力でやったら、ちょっと前に進めるはずと元気をもらう。

現在の「BE・LOVE」担当編集は言う。

「私は2017年に『BE・LOVE』に異動してきたのですが、担当する前から当時2年目の後輩に『この漫画、めちゃめちゃ面白いですよ!!!』と『悪女(わる)』を激烈プッシュされたんです。当時20年前の作品だったわけですが、これは熱いと編集部内でもブームになっていました。『悪女(わる)』は電子書店でもずっと売れ続けておりまして、各電子書店さまで100を超えるレビューがついていて、レビューも尋常でないくらい熱く、各レビューからも私は元気をもらっています」

熱いコメントが寄せられる理由は、30年の時をこえ、編集部にもずっと引き継がれているのだ。

実際その熱さをドラマとマンガと両方で確認するのも楽しいのではないだろうか。

『悪女(わる)』1~3巻無料試し読みはこちら(2022年6月22日23時59分まで。1巻が終わったら次を選ぶと2巻をお読みいただけます)
(c)NTV
悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~
一生懸命働くのがかっこ悪いなんて、誰が言った?――大手IT企業に「三流大学を四流の成績で」卒業しながら就職した田中麻理鈴(今田美桜)。配属されたのは窓際部署と言われる備品管理課。「姥捨て山」とも言われる部署でクールな上司・峰岸(江口のりこ)に出会い、謎の指示をされることに。社内で憧れの男性ともすれ違いときめきながら、全力で目の前のことをこなしていくと……。1988年に連載され、90年代のドラマも人気を博した深見じゅんさんの漫画『悪女(わる)』が令和版で蘇る!水曜夜10時日本テレビ系放送(4月13日初回放送のみ21時54分スタート)