2022.03.16

60代の夫婦が絶望…障害のある娘の「財産管理権」を裁判所からいきなり奪われた、その一部始終

無念の死を遂げた妻

成年後見制度は、超高齢社会になだれ込む日本にとって、認知症高齢者、そして知的・精神障害者の財産と生活を守るために設計され、「弱者のための」崇高な使命を持つ制度として2000年にスタートした。

ところが、後述するように、その実態を見ると、むしろ「弱者を食い物にする」と呼んでもよい出来事が全国で発生している。

この制度の運用面の最大の欠陥は、認知症高齢者や障害者の意思が無視される傾向が強いこと。また家族がほとんど後見人になれないことだ。こうした大きな欠陥があるため、制度発足から四半世紀近く経ったいまも利用者は約22万人。推計では認知症の人は日本に1000万人おり、利用率はわずか2%程度だ。

〔PHOTO〕iStock
 

この制度は欧米各国でも大きな問題になっている。昨年暮れに日本全国で上映された米映画『パーフェクト・ケア』は、“完璧なケア”で裁判所からの信頼も厚い法定後見人(裁判所が選任した後見人という意味)が、実は高齢者の資産を合法的に搾り取る悪徳後見人だったという設定。この映画とは別に、米国では、昨年11月、人気ポップシンガーのブリトニー・スピアーズに対し、裁判所が成年後見制度の適用を解除して大きな話題になった。

日本では、マスコミが成年後見制度のことをほとんど報じないため、制度の問題点が社会の共通認識になっていない。しかし水面下では、制度の矛盾を象徴するような事件が昨年秋以降、立て続けに起きている。

一つは、家裁の強権的な制度運用により強いストレスを受けたとされる女性が、心筋梗塞を起こして死亡した事件について、女性の夫が昨年末、国(さいたま家裁判事)を相手取り東京地裁に国家賠償請求訴訟を起こしたこと。「無念の死を遂げた妻に成り代わり現在の成年後見制度が本当に住民のためになっているのかを裁判で問いたい」と夫は語る。

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