2022.03.16
# ロシア

ロシアへの経済制裁が「まだ十分に効果を発揮していない」これだけの理由

カギは石油と天然ガスの「禁輸措置」
加谷 珪一 プロフィール

ロシア政府は、ドル建てで発行する国債の利払いや元本について、ドルでの支払いを拒否し、ルーブルでの支払いに切り換えると表明している。本来、ドルで支払うべき契約を一方的に、価値の下がっている自国通貨に切り換えるという行為は、意図的な契約不履行であり、この段階で事実上のデフォルト(債務不履行)ということになる。

だが、すでに西側はロシアの外貨準備を凍結しているので、ロシア側からするとドルで支払いたくても、払えない状況であるとも言える。つまり、西側が外貨準備凍結という制裁を実施した段階で、ロシア国債がデフォルトする可能性は濃厚であり、逆に言えば、ロシア国債が今さらデフォルトとしたとしても、ロシアにとって致命的な打撃にはならない。

 

ロシア国内にはまだドル札が流通している

またSWIFT排除についても、ロシアの生命線である天然ガスの輸出決済を行っているとみられるガスプロムバンクは今のところ制裁対象に入っていない。これは、まだロシアが自由に天然ガスを売り、代金を外貨で受け取れること意味している。

国内市場も現時点では大混乱にはなっていない。2022年3月9日時点において、外貨預金口座からは1万ドルまで引き出せる状態となっている。筆者は当初、ロシア政府はすぐに国内のドル預金を凍結すると予想していたが、現時点では完全に凍結されておらず、言い換えればロシア国内にはまだドル紙幣が流通していることになる。このニュースに対して筆者は少々驚いたが、同じ印象を持った関係者は多いのではないだろうか。

どの国でも外貨を預金することは簡単だが、平時であっても大量の紙幣を引き出せるとは限らない(日本の外貨預金はそもそも紙幣を引き出せない契約なっていることがほとんどである)。ロシアの預金のうち外貨が占める割合は2割に達する。1万ドルという上限が設定されているとはいえ、よほど国内にドル紙幣が存在しない限り、本来ならたちまち紙幣が枯渇してしまうはずだ。

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