2022.03.16
# ロシア

ロシアへの経済制裁が「まだ十分に効果を発揮していない」これだけの理由

カギは石油と天然ガスの「禁輸措置」
加谷 珪一 プロフィール

ロシアの国内市場には、旧ソ連崩壊や通貨危機などをきっかけに、大量のドルが入り込んでおり、かなりのドル紙幣が流通していると推察される。限度はあるだろうが、預金が引き出せているということは、まだ致命的なレベルの外貨不足にはなっていないということをうかがわせる。

国内の消費価格は総じて1.5倍から2倍近くに上昇しており、モノ不足が深刻になりつつあるが、生活必需品に事欠くという状況ではないようだ。クレジットカードの決済ネットワークを提供するビザやマスターはロシアでのサービスを制限しているものの、プーチン政権はロシア・ブランドのカードであるミールの普及を推進してきた経緯もあり、ルーブル建てであれば、国内でのカード決済も実行できると思われる(ちなみにミールは日本ブランドのクレジットカードであるJCBを参考に開発された)。

モスクワのマクドナルドに並ぶ人々(3月11日)〔PHOTO〕Gettyimages
 

ロシア政府は、輸出によって外貨を受け取る事業者に対して、その8割を売却するよう指示しており、こうして獲得した外貨を、生活必需品を輸入する事業者に対して優先的に割り当てていると考えられる。特に天然ガスと石油の輸出は巨額であり、ここから得た外貨が続く限り、最低限の輸入は継続できる。

一連の手法は、終戦後の日本などで行われていた国家主導の為替管理であり、ロシア経済は完全に国家統制下に入ったと考えてよいだろう。ロシアは今、厳しい状況に追い込まれてはいるものの、石油と天然ガスの禁輸措置が実施されない限り、ギリギリで経済を回すことが出来ていると判断できる。

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