中学生からわかる「英語の本質」
■関正生『世界一わかりやすい中学英語の授業』(KADOKAWA)
古文と同じく、英語の時間が嫌いだった方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか? この本は英語の基本的な考え方を理解できるのみならず、「なぜ当時は苦手だったのか」がわかる一冊です。
題材として取り上げられている英文には『ロミオとジュリエット』や『ガリバー旅行記』、ニーチェの哲学書など、大人が興味を持てる例文もたくさん採用されています。イラストも豊富なのでサクサク読めるはずです。「英語に丸暗記は必要ない」という関先生の言葉通り、英語の本質をわかりやすく教えてくれます。
中でも僕が特に印象的だったのが、「英語と日本語の違い」についてです。
「冷蔵庫にプリンがある」
「机にプリンがある」
「彼にプリンをあげる」
日本語だとどれも「に」ですが、英語は「in」「on」「to」を使い分けています。日本語は「空気を読む言語」で、聞き手が話し手の言いたいことを考える言語です。「冷蔵庫に」といえば「冷蔵庫の中に」ということを、聞き手側が判断します。こういった言語の特徴にも、日本人の「空気を読み、和を乱すことを嫌う」という傾向が表れていますよね。
これに対して英語は、話し手側が意味を明確に定義します。冷蔵庫の上なのか、中なのか、向こう側なのか、いろいろな可能性の中から自分が伝えたいことをハッキリ示さなければなりません。「欧米人は日本人に比べ、物事をはっきり述べる」という傾向は、言語の違いから来ている部分もあるのではないかと思います。
「この本は中学英語をただやさしく語る本ではない」「丸暗記を強要されてきた文法事項をきれいに削ぎ落とし、英語の核心を解説」とカバー折り返しに書かれている通りの一冊。英語を勉強したい中高生にももちろんおすすめなのですが、むしろ大人の方にこそ読んでほしい本です。