ロシア国民を混乱させる経済制裁、それでもまだ戦争反対の声は小さい

モスクワから見たウクライナ危機・後編
村上 大空 プロフィール

世界経済から切り離されるということ

新しいトレンドとして、ロシアにて活動している企業がウクライナに賛同し、ロシアでの活動を停止するようになった事例が増えている。例えば、大手企業ではマイクロソフト、Adobe、アップル、IKEA、メルセデス、ZARA、マクドナルドやスターバックスといった企業が営業停止を発表している。

こうした動きには、ユニクロ、トヨタや任天堂といった日本企業も追随しており、ロシアでの営業停止を発表している。

このような企業の対応に対し、プーチンは「宣戦布告のようだ」と激しく反発しており、ロシアから撤退する企業の国有化の検討も発表されている。

だが、これらの企業の対応は、ロシアのウクライナでの軍事行動を批判によるものもあれば、そもそも通常通りの活動が困難になっているため、営業停止をした事例もある。そのため、一括りにはできないだろう。

というのも、現在のロシアにはもう海外から送金ができなくなっており、物流や決済システムへの影響も既に出ている。ロシアでは、外国で発行されたクレジットカードのVisaとMasterはすでに使えなくなっており、ロシアの銀行はVisaとMasterの代替として中国のUnion Payに切り替えることを発表している。

これらの影響は、ロシアに住む外国人にとってはもちろん、企業活動そのものにも大きな影響を与えている。果たしてこれが短期的な営業停止で済むのか、それともロシアからの撤退にもいずれつながるきっかけになるかについては、戦闘が続いている現段階ではわからない。

 

ただロシア国民にとって、こうした外国企業の対応は雇用に直結する問題である。たとえ現段階では、雇用が保障されていたとしても、ルーブル安による影響や海外送金に付随する問題によっては、企業が通常通りの営業に戻るのには時間がかかる可能性がある。そして、外国企業にとって、その過程でロシアからの撤退も一つの選択肢になることも十分考えられる。

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