ロシア国民を混乱させる経済制裁、それでもまだ戦争反対の声は小さい

モスクワから見たウクライナ危機・後編
村上 大空 プロフィール

ロシア国民の「制裁慣れ」

そして、今回の制裁の影響は、市民生活にも影響が出る分野にも及んでいる。現在はだいぶ落ち着いたが、カードがいずれ使えなくなるという不安から、現金を引き出す人々の長打の列ができ、ATMが空にも珍しくなかった。また仮に引き出せたとしても、少額のみになるようなことも多々あった。

3月16日、モスクワ市内の米銀店舗に集まる人々 by Gettyimages

物価も徐々に上昇しており、ロシアでの営業を停止した外国企業の製品の買い占めにより、スーパーでは空の棚が目立つようになっている。こうしたことはレストランやバーでも同様で、仕入れの問題で提供できなくなっているものも徐々に増えてきている。

筆者の愛飲するビールもロシアへの出荷を停止しているようで、仲のいい店員に入荷見込み時期を聞いても「わからない。でももしかしたら、ロシアではその銘柄が二度と飲めなくなるかもしれない」といわれる始末だ。

 

しかし、こうしたことは国民に危機意識を抱かせるのには至っていない。というのも、ロシアでは2014年以降「制裁慣れ」が進んでおり、物価はコロナ禍においても上昇してきた。大多数の国民の間には、「どうせすぐに終わる」という楽観的な考えがまだ広がっているようだ。

そして重要なことは、こうした制裁は、ロシア国民の政権に対する態度を変えるに至っていない。

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