ゼレンスキー大統領が日本の国会演説で投げかける「具体的要求」と、岸田首相の「がっかりな対応」

「焼け石に水」の防弾チョッキ支援

ウクライナのゼレンスキー大統領による日本の国会での演説が3月23日の午後6時から行われる。これまでの諸外国の演説から、日本に対しても具体的な要求が行われる見通しだ。

これまで日本はウクライナに対して、後方支援以外には防弾チョッキを送る程度の支援しかしてこなかった。岸信夫防衛相は自身のフェイスブックでこの防弾チョッキ支援をことさらに自慢するが、ドイツがウクライナにヘルメットを送って嘲笑されたように、ウクライナ戦局にとっては「焼け石に水」かもしれない。

ゼレンスキー大統領 Photo by GettyImagesゼレンスキー大統領 Photo by GettyImages

経済制裁には抜け道も多く、日本政府が自身のウクライナ支援の充実ぶりを強調しても、ゼレンスキー大統領にしてみればまだまだ物足りないというところだろう。

ではロシアとの停戦に向けた努力はどうだろうか。これならば憲法の制限もなく、大国同様の活躍も期待できるのではないか。

しかし、対ロ制裁強化に踏み切る欧米主要国のリーダーは「外交努力」に東奔西走するが、「新時代のリアリズム外交」を提唱した岸田文雄政権の動きは鈍いままだ。核戦力で威嚇するロシアを前に打つ手を欠く日本外交の存在感が問われている。

「世界はプーチン大統領を止めなければならない。行動の時は今である」。ウクライナのクレバ外相がツイッターで呼びかけた2月24日に軍事侵攻を始めたロシアは、原子力発電所や病院への攻撃などを続け、民間人を含めた被害は増加の一途をたどっている。だが、国連が機能せず、NATO(北大西洋条約機構)も決定的対立を避ける中、ロシア軍を撤収させる方策はいまだ見つかってはいない。

 

激しい情報戦も展開される中、前面にあらわれているのは各国の外相たちの姿だ。関係国との交渉を担う外政の責任者は、国際社会で自国の立場と対応を意思表示する「顔」でもある。欧米主要国の外相は記者会見や声明発表のほか、積極的にメディアに露出したり、他国で演説したりするなど、対ロ包囲網構築に向けて存在感を発揮してきた。だが、岸田政権の林芳正外相は記者会見や国会答弁で見解を示す場面ばかりが目立ち、国際社会におけるメッセージ性は弱いとの見方がもっぱらだ。

関連記事