物価は上がるが賃金は上がらないという、かつてない事態が起こる

中小零細企業とパートがとくに苦しい
野口 悠紀雄 プロフィール

春闘賃上げ2%だと実質賃金伸び率はマイナスに

では、物価上昇に対応して賃金が上がるだろうか? それを判断する目安として、まず春闘を見よう。

連合の第1次集計によると、今年の春闘の賃上げ率は2.14%だった。

図表1に示すこれまでの春闘賃上げ率と比較すると、コロナの影響で低くなった昨年の賃上げ実績1.86%を上回るものの、2019年までの賃上げ率とほぼ同じ、あるいはやや低めだ。

図表1  春闘賃上げ率と賃金増減率(単位:%)

(注)一般労働者の賃金の対前年増加率、賃金構造基本調査による。厚生労働省の資料により筆者作成
 

上述のように消費者物価上昇率は2%を超える可能性が高いので、仮に賃金が2%上昇しても、実質賃金上昇率はマイナスになる可能性が高い。

つまり、春闘においては、物価上昇率が高まることに対応した賃上げは要求されていないことになる。

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