物価は上がるが賃金は上がらないという、かつてない事態が起こる

中小零細企業とパートがとくに苦しい
野口 悠紀雄 プロフィール

中小零細企業やパートが、とりわけ苦しい立場に

原材料費高騰を販売価格にどの程度転嫁できるかは、企業の価格交渉力による。これは、企業規模によって大きく違う。

中小零細企業、とくに下請け企業は、大企業に対して原材料価格上昇を理由とする製品価格の引き上げは要求しにくい。したがって、大企業が原材料価格の高騰を転嫁できても、中小零細企業はそれができない可能性が高い。そうなると、付加価値が減少し、賃上げしようとしてもできない。

また大企業においても、非正規就業者(パートタイム労働者)の賃金が削減される可能性が高い。

毎月勤労調査によって現金給与の最近の上昇率をみると、図表2のとおりだ。一般労働者は2021年5月頃から1%程度の伸びになっているが、これは2020年に落ちこんだことの反動だ。

パートタイマーの上昇率が2021年の秋に低下している。これは、原材料費上昇の影響であるのかもしれない。

 

図表2 一般労働者とパートの賃上げ率(対前年同月比、%)

毎月勤労統計調査のデータにより筆者作成

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