2022.04.10
# 加齢・老化

〈脊柱管狭窄症〉歩くの無理っ!レベルの“しびれ”や“痛み”は改善できるか

からだとこころ編集部 プロフィール

原因は後天性が圧倒的に多い

発症する原因には、生まれつきの背骨の構造や体質による先天性・発育性と、加齢や腰椎の病気による後天性がありますが、圧倒的多数は後者です。

先天性・発育性

〈生まれつきの背骨の構造や体質〉

脊柱管の広さには個人差がありますが、もともと狭い人のほうが発症リスクは高いです。骨や靱帯などが変形・変性しやすい体質の人、親やきょうだいなど血縁者に患者のいる人も発症リスクが高くなります。

後天性

〈加齢〉

椎間板は、加齢によりその弾力性が低下して、つぶれてくる傾向があります。つぶれた椎間板は、後方に位置する脊柱管の方向にもはみ出てきて、脊柱管を狭くします。また、筋力が低下すると、さまざまな動作中に背骨自体に重みや負担がかかります。その分だけ椎間板の劣化やつぶれを加速させ、脊柱管を狭くします。

【イラスト】つぶれた椎間板による脊柱管の狭窄加齢により椎間板がつぶれると、脊柱管を狭くする。このイラストでは、緑が神経(脊髄とそこから伸びる肋間神経)、青が脊椎、ピンクが椎間板を示す illusturations by gettyimages

ただし、顔にしわができたり髪が白くなったりするのと同じように、脊柱管は加齢とともに誰でも多少は狭くなってきます。とくに症状がなく生活で困ることがなければ、脊柱管が狭くなっても治療の必要はありません。

〈仕事や姿勢〉

重いものを持ち運ぶ仕事や腰への負担が大きい仕事、悪い姿勢を続けるといった習慣があると、脊柱管が狭くなる可能性があります。

〈病気〉

背骨のなかでもとくに腰椎(腰の椎骨)に起こる病気は、脊柱管を狭くして腰部脊柱管狭窄症の原因になることがあります。おもな病気は以下の通りです。

腰部の脊柱管狭窄症の原因となるおもな腰椎の病気

骨粗しょう症、椎間板ヘルニア、椎間関節症、変性脊椎すべり症、脊椎分離すべり症、変性側弯症、黄色靱帯骨化症、後継靱帯骨化症など。

悪化するとまったく歩けなくなる? 

しびれや痛みがひどくなると、このまま歩けなくなるのでは、と不安になる人もいるでしょう。

そこまで重症になる人はまれですが、脚のしびれや痛みのせいで長時間歩けなくなると、日常の行動が制限されます。

外出するのがおっくうになり、しだいに体を動かさなくなります。すると足腰の筋力が衰え、体力も低下してきます。体を動かさないと食欲が低下して食事量も減り、たんぱく質やカルシウムなどが不足して、筋肉や骨が弱くなります。

こうした状態が続くと要介護や寝たきりに進むリスクを高めてしまいます。

【写真】不活発な生活は、リスクを高くする不活発な生活は、リスクを高くする photo by gettyimages

また、不活発な生活は、肥満や糖尿病、動脈硬化、高血圧、脂質異常症、狭心症、脳梗塞、慢性気管支炎など、さまざまな病気を引き起こすきっかけにも。これらの病気は、生命や将来を左右する状態を招いてしまいます。

悪化を招く要因としては、次のような生活習慣も影響します。

  • 運動不足 背骨を構成する椎骨や椎間板には、さまざまな動作で大きな力がかかります。体幹(腹筋や背筋)の筋力が弱い人は、その力が背骨にかかりやすくなります。
  • 姿勢 背骨に何らかの先天性の変形がある場合を除くと、姿勢が悪い人は姿勢を保つ体幹の筋力が弱いといえます。体幹の筋力が弱ければ、前述のように背骨の負担が強まり、椎間板への負担が増えます。
  • 喫煙 タバコを吸う人は、吸わない人と比較して手術が必要になるケースが多いことが明らかになっています。くわしい関係はわかっていませんが、喫煙による血流の悪化や体内の酸化が進むことが影響していると考えられます。
  • 肥満 体の重さがそのまま背骨への重さとなり、負担となります。さらに運動不足が原因で太ったり、太ったことで運動不足になったりしている人も。
  • 精神的・社会的ストレス 古くから、腰痛とこころの問題には深い関係があるといわれています。とくに、痛みが慢性化している人や治療が長期化している人に該当することがあります。

悪化の要因としては、加齢が大きく関係しますが、それだけでは悪くなることはありません。前述したように、安静よりも、適度な運動をする方が効果的で、全身状態を良好に保つ効果も期待できます。

手術しないと治らない? 効果的な治療法とは

治療の種類には大きく分けて保存療法と手術(外科的療法)がありますが、手術が必要になる重症例はほんの一部です。

大多数の治療に選択される保存療法には、以下のようなものがあります。このうち運動療法は必ずおこない、それ以外は補助として適宜並行します。

  • 運動療法 保存療法の中心で、軽症の場合は運動療法だけで十分というケースもあります。脊柱管狭窄症そのものを治すのは努力が必要ですが、間欠性跛行は速やかに改善し、体を動かして全身状態を良好に保つなど、たくさんの効果も期待できます。
  • 薬物療法 鎮痛薬など、症状をやわらげる薬を使います。ただし、あくまでも痛みやしびれ、間欠性跛行といった症状を改善するもので、脊柱管そのものを広げて直す効果はありません。薬で症状を軽減させながら、運動療法をおこなうのが基本です。
  • ブロック療法 脊椎に局所麻酔薬を注射して痛みが伝わる経路を遮断する方法で、神経ブロック、脊椎注射療法とも呼ばれています。
  • 理学療法 体に物理的な刺激を加える治療法で、温熱療法や牽引療法(腰を引っ張る方法)、装具療法(コルセットを使う)などがあります。工夫次第で家でもおこなえます。
【写真】基本は運動療法基本は運動療法 photo by gettyimages

保存療法をおこなっても症状が改善されない、あるいは悪化している場合は手術を検討します。とくに排尿・排便障害、脚の脱力がある場合には、できるだけ早く手術を受けるようにしましょう。

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