人種が違えば、体質も違うし、合う食事や健康法も違う。そんな事実が、さまざまな研究で明らかになってきました。
日本人に合った健康法とは、どのようなものなのでしょうか? 新刊『日本人の「遺伝子」からみた病気になりにくい体質のつくりかた』(講談社ブルーバックス)から、特別編集してお届けします。
日本人と欧米人では胃の形がちがう
炭水化物を中心に食べてきた日本人は胃の形も変化しました。鉤状胃(こうじょうい)といって、図の左に示すように縦に長く、釣り針のように曲がった形をしています。
穀物は食物繊維が多いため、胃のぜん動によってどろどろになるまで砕き、十分に処理してから腸に送る必要がありますが、胃が袋のようになって出口が高い位置についているため、食べたものをしっかりためて消化できます。
これに対して欧州系の人は肉食が中心で、脂肪と動物性蛋白質を多く摂取してきました。脂肪と蛋白質はおもに小腸で消化されるため、胃での処理は手早く終えて腸に送り出すほうがよいのです。
そのため胃酸の量が日本人より約2倍多く、分厚い筋肉を使って内容物を力強く押し出せるようになりました。図の右のイラストのように、牛の角に似たすっきりした形をしていることも内容物のスムーズな移動に役立ちます。牛角胃(ぎゅうかくい)と呼ばれる形です。

どんな遺伝子が胃の形と機能を決めるのかはわかっていないものの、体の「設計図」ことゲノムに違いがあるのは間違いないと思われます。