オンラインスピーチに感じる違和感
ウクライナのゼレンスキー大統領が、世界各国であたかも英雄のように奉られている。
2月19日、ロシアの大軍がウクライナ国境に張り付き、緊張が高まっていた最中、突然、ミュンヘンの安全保障会議に現れてスピーチをしたのには大いに違和感を持ったが、今では立て続けにオンラインスピーチが続く。
皮切りとなった3月1日のEUの欧州議会では、最後にほとんどの議員が立ち上がり、モニターに向かって拍手喝采という大成功。8日にはロンドンの下院、16日には米ワシントンの議会、17日にはドイツの国会、20日はイスラエルの国会「クネセト」、22日にはイタリアの国会、ついに23日には日本、フランス。他にもありそうだが、フォローしきれない。

それにしても、いったい各国の国会議事堂は、いつからウクライナ劇場になったのか。
すでに3月19日、岡本裕明氏がご自身のブログで、「そもそも何かがおかしいゼレンスキー大統領の演説」として次のように書いている。
〈 まず、シナリオライターが誰で、何の目的で議会演説をアレンジしているのでしょうか? 私は彼のそばにアメリカ人の補佐がいると聞いています。そして彼の演説には武器供与などの支援を求め、ウクライナへの賛同を呼び掛けていますが、これは主要国を戦争に巻き込む行為に近く、世界を二分化するリスクをはらみます 〉
〈 もちろん、現在、置かれている状況に対して皆さんと同様、深い懸念とただちの停戦を求めますが(略)、なぜ、ウクライナがあんな事態にならなくてはいけなかったのか、政治的な判断ミスはなかったのか、外交的交渉でとどめることはできなかったのか、プーチン氏がなぜ、あそこまで踏み込んだのかなど、それらの背景が必ずあるはずなのです。ゼレンスキー氏はヒーローではないのです。ここまで混とんとさせた当事者だということは頭の片隅に置いておくべきでしょう 〉
全く同感だ。
ウクライナから流されてくるのは、ロシア軍が攻めてきたとき抵抗するために、市民がビールの空き瓶でせっせと火炎瓶を作ったり、若い女性が機関銃の操作を教わったりしている映像だ。そして、そんな市民に向かってゼレンスキー氏は、祖国防衛だ、武器を持って戦え! と発破をかける。これではまるで玉砕の勧めだ。
しかも、彼は、ウクライナは世界の民主主義の防衛のために戦っているのだからと、世界中に向かって、自分達を助けろ、武器をくれと、せっせと呼びかける。援助を受けることが、まるで彼らの当然の権利であるかのように。