「手伝う」という言葉が出てくる理由

メジャーリーグでは、選手や監督が妻の出産、子どもの入学式や卒業式など家族のイベントで試合を休むことがあるという例を話し始める整。そうして試合を休む選手に対し、日本で試合を中継しているアナウンサーや解説者から「ああ、奥さんが怖いんでしょうねえ」という言葉が出たことを伝えてこう語る。

彼らにはメジャーリーガーが行きたくて行っていることが理解できない。
なぜなら自分はそう思ったことがないから。
ムリヤリ行かされると考える。大切な仕事を休んでまで、と。
メジャーリーガーは子供の成長に立ち会うことを父親の権利だと思い、日本側の解説者たちは義務だと思ってる。
そこには天と地ほどの差があるんですよ

(c)田村由美/小学館『ミステリと言う勿れ』1巻より
田中将大選手もヤンキース時代第二子の出産に立ち会った Photo by Getty Images

さらに整はさらにこう重ねる。

池本さんはお子さんを奥さんの付属物だと考えてないですか。
だから“参加する”とか“手伝う”なんて言葉が出るんじゃないですか

子供を産んだら女性は変わると言いました。当たり前です。
ちょっと目を離したら死んでしまう生き物を育てるんです。
問題なのは、あなたが一緒に変わってないことです
……でも、それは強制されることではないので、池本さんの好きにしたらいいと思います。したこともしなかったことも、いずれ自分に還ってくるだけなので

(c)田村由美/小学館『ミステリと言う勿れ』1巻より

この会話が出てくるのは、ドラマ1話では取調室の大きな事件のあとのラストに近いシーンだが、この言葉にも膝を叩いた人は多かったのではないか。SNSで検索しても、「育児を手伝うってこと自体が当事者じゃない」「育児を手伝うと言う男性が心底嫌い」「家事育児を手伝う気持ちでいたけど『ミステリと言う勿れ』を読んでハッとした…」など多くの声がある。

生活をするということは、誰かが何かをやるから進む。ゴミは誰かがゴミ箱を用意し、そのゴミ箱をきれいにするからまたゴミが捨てられる。自分でそれをきれいにするという思いがあれば、ゴミを運ぶことを「ゴミ捨てを手伝っている」とは決して言わないだろう。そして、世話をしなければ死んでしまう小さな命を、自分が責任を持って育てていると思えば、「育児を手伝う」とは決して言わないだろう。

尾上松也さんが演じた池本のユーモラスな様子も話題に (c)田村由美/小学館 (c)フジテレビジョン