2022.03.29
# ビジネス

年度末に「大量に余った有休」を会社は買い取ってくれるのか?32歳会社員が「直談判」した結果

木村 政美 プロフィール

有休の時効は付与日から2年

有休は付与日から2年が経過すると時効になり取得できる権利が消滅する。

この記事で紹介しているA上さんの場合、令和2年4月1日に20日間の有休が付与されたが15日間が未消化で、その分は令和4年3月31日までに取得しないと時効により消滅する。そして令和4年4月1日には新たに20日分の有休が付与される。

A上さんはC山課長に、令和2年度の有休消化を申し出たが、有休を消化する順番(今年度分が先前年度分が先か)について、企業が消化の優先順位を就業規則に定めることによりどちらでも可能である。また企業で指定されていない場合は労働者が指定することができる(民法488条2項)。

【時季変更権】

有休は労働者の権利なので、労働者が自ら日を指定して有休の申請をした場合、企業は原則拒否することはできない。しかし、申請日に有休を付与することにより、事業の正常な運営を妨げると企業側が判断した場合、有休日の変更を求めることが可能で、これを「時季変更権」という。

A上さんの場合、

(1)A上さんが有休を申請した時季が部署の繁忙期にあたる
(2)A上さんが有休を申請した時季と同じ時季に、すでに3名の課員から複数日の有休申請があった。
(3)上記の事情からして、3月末まで残り1か月半の中でA上さんに連続20日間の有休を付与するのは業務上難しい

以上の理由で、C山課長がA上さんに対して時季変更権を行使したのはやむをえないと言える。せめてA上さんがもっと早い時期に有休の申請を行っていたら、事態は変わっていただろう。

 

【有休の法律的付与】

本来、有休は労働者からの申請により付与される。しかし国が施策として労働者の有休取得率を上げる目的で、平成31年4月より法定の有休が10日以上(その年に新規に付与された有休の日数のみで見る)の全労働者に対して毎年5日間、企業が有休を確実に取得させることが義務化された。正社員だけではなくパート、アルバイト社員でも要件にあてはまれば付与対象になる(労基法第39条7項)。

A上さんは令和3年は1日も有休を取得していないため、3月末までの間に5日間、会社が強制的に有休を付与する必要がある。

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