「後悔したくない症候群」に注意

親として避けるべきは、「才能を伸ばすチャンスをできるだけ多く、早く与えてやらなければ」と、先回りして“成功へのお膳立て”をしてしまうことです。好きなこと、やりたいことがあれば、子どもは放っておいても、自分からやりたいと言い出します。環境が整っていないために学ぶチャンスを逃す、なんてことは現代日本の平均的な家庭ではありえないんです。

虐待の被害者のような極端な例は別にして、ごくふつうに日常生活を送り、また学校で勉強していれば、生きていくうえで必要なことは十分に学べます。やりたがらない子に、やれバイオリンだ、水泳だ、英語だって習いごとをさせても意味がない。厳しい言い方をしますが、勝手に設定した目標に子どもを無理やり向かわせるのは、子どもに無関心なのと同じです。将来、「あそこで、こういうふうに育てておけばよかった」と後悔したくないだけでしょう。それを私は親の「後悔したくない症候群」と呼んでいます。

子どもの気持ちとは別に親が勝手に設定した目標をミッションのようにさせたら、それは子どもに無関心と同じ…Photo by iStock
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だって、新庄さんのような人生、お膳立てできますか? 最初に言ったように、そこはやはり「子育ち」。どんな人生を歩むにせよ、子ども自身が「自分で決めたことだから」と自信をもって前に進めるようにしてあげないといけませんよね。

もちろん習い事など、子どもがやりたいと言うのなら、できる限りやらせてあげるのはいいと思います。子どもは飽きっぽいから、10個やったら9個は投げ出すかもしれません。それでもやらせてあげる意義はあります。挫折したことがいい経験になるからです。親としては「途中で投げ出すなんて情けない」とか「せっかくお金をかけたのにもったいない」というふうに思うかもしれませんが、「挫折体験」は子どもにとってお金には替えがたい貴重な実体験として、それからの人生にプラスの影響をもたらしてくれるはずです。

『スリルライフ』より

◇後編「新庄剛志が持つ「子どもが幸せになるための“3つの力”」とは?小児科医が徹底解説」では、中でも「子どもが幸せになるために必要」といえる新庄剛志氏の大きな「3つの力」について高橋医師に解説いただく。

スリルライフ
1章 0.1%の可能性を信じて
2章 一歩踏み出すだけで世界は変わる
3章 最高の結果は最高の準備から生まれる
4章 逆境こそ最大のエネルギー
彗星の如く日本の野球界に戻ってきた「BIGBOSS」新庄剛志氏はいったい何を考えて今に至るのか。自身の言葉で綴られる「その生き方」。「どんなふうに育ったんですか?」「なぜバリ島から戻ってきたの?」「整形はなぜ?」といった素朴な疑問まで答える濃厚な一冊。(マガジンハウス)

取材・文/千葉潤子