ここにきて「プーチンの暗殺」が現実味を帯びてきた…引退した「凄腕のスナイパー」参戦のワケ

週刊現代 プロフィール

ウクライナの領土に入ると、景色が一変した。道端にはゴミが散乱し、持ち主を失った自動車が放置されている。商店は営業を続けられず、道には鉄骨をX形に組み合わせて戦車の進行を防ぐ、通称「チェコのハリネズミ」が設置されていた。

だが、荒廃した街にもしぶとく抵抗を続ける人々がいた。ワリたちが街に辿りつくと、ウクライナの人々が熱い抱擁で歓迎してくれたという。「伝説のスナイパーがやってきた」というニュースは、プーチンに反抗する人々に大きな勇気を与えた。

ところが、ワリが戦地に赴いて間もなく、衝撃的な情報が流れた。

〈ロシア軍が世界最強のカナダ人スナイパーを殺害した。マリウポリの戦場に入ってからわずか20分だった〉

雷のような戦闘機の騒音が響きわたり、街のどこかで毎日爆発が起きている。ワリが参戦したウクライナ東南部の港湾都市・マリウポリは、最大の激戦地だった。

空からは爆撃機が、海からはクリミアの黒海艦隊がミサイルの雨を降らせている。避難所となっていた劇場は空襲に遭い、住宅の8割が破壊された。3000人以上が亡くなったとも報じられている。

Photo by gettyimagesPhoto by gettyimages
 

「義勇兵が配置される戦場は、基本的に戦火が激しい場所です。私が'94年にボスニア・ヘルツェゴビナで紛争に参加した時も、初めに外国人が投入されました。

正規軍であれば『戦闘で○人が亡くなった』と発表されますが、義勇兵の死亡者数は公表されない。結局、義勇兵は最前線で敵を削るために使われる、便利な戦力なのです」(元傭兵で軍事評論家の高部正樹氏)

いよいよ西側のメディアでも、ワリの生存を疑う記事が出始めた。ワリは生きているのか。それとも儚く散ってしまったのか……。

関連記事