つらい時に駆け込める場所を作れたら

――それが東京・恵比寿にある「失恋バー Citr0n(シトロン)」ですね。しかし念願だったというのはどういうことなのでしょう。

MIYAMU 3人でラブグラフを共同創業した際、代表から「俺は幸せな人をもっと幸せにするのが得意だけど、MIYAMUさんは『自分は不幸せだ』と思っている人をゼロに戻すのが向いているね」と言われたんです。その時、プラスをもっとプラスにするのがラブグラフの役割だとしたら、僕はマイナスをゼロに持っていく活動がしたいと思ったんですね。

大切な人との死別だったり、親の病気だったり、人生に於いて凹む瞬間はたくさんあります。なかでも頻度が高くて落ち込みの度合いが深いものって何だろうと考えると、意外と「失恋」なのではと気がついて。ならば失恋してつらい時も「あそこがあるから大丈夫」と頼ってもらえる、教会みたいな場所を作れたらいいんじゃないか、と。

ラブグラフはwebのサービスだったので、リアルのサービスとして店舗が持てたら自分の幸福度も上がるし、やりたいこととのビジョンも一致します。そんなふうに7年くらい前から温めていたプランを具現化したのが、昨年11月にオープンした「失恋バー」だったわけです。

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イラストレーター、yasunaさんとの出会い

――失恋バーと小説とのつながりも気になりますが、その前にyasunaさんとの関係性について伺わせてください。MIYAMUさんが書いた小説『ホワイトカメリア』は、物語を彩る繊細なイラストも魅力のひとつになっています。描いているのは、人気イラストレーターのyasunaさん。おふたりは以前からの知り合いだったのでしょうか。

MIYAMU もともと僕がyasunaさんの絵を知っていて、めっちゃいいなと思っていたんです。そしたらTwitterをフォローされているのに気がついて、「マジっすか!?」って。すぐに「ファンなんです!」と連絡して、仲良くなりました。

yasuna 2年くらい前かな? それを機に、MIYAMUくんがSNSにアップする文章に絵を描かせてもらうようになりました。その印象が強かったのか、いつの間にか「MIYAMUさんの投稿の絵はyasunaさんが描いてるんですね」と言われるようになったんですよね。

yasunaさん 撮影/柏原力

MIYAMU 最初に絵を見た時、髪の毛の流れがめちゃくちゃキレイで。尋ねたら「以前はヘアメイクの仕事をやっていた」と言われたんですよね。

yasuna 6~7年ほどヘアメイクの仕事をしていて、師匠から独立してフリーランスになった際に時間ができたので絵を描き始めたんです。それをInstagramに投稿するうちに仕事になっていきました。

最初は本業の合間に描いていたものの、いつの間にか絵のほうが楽しくなってしまって。数年前に、夢だったミュージカルの仕事をやり遂げたことで区切りがついて、「これでヘアメイクの仕事は終わりにしよう」と。そこからはイラストレーターとして活動しています。

(c)yasuna/講談社『ホワイトカメリア』より