「自分に近い人」を見つけられる
――『デイジー・ラック』は2018年に佐々木希さん、夏菜さん、中川翔子さん、徳永えりさんでドラマ化されました。
海野 実は、(ドラマでは)最初、女同士の嫉妬みたいなのを入れたいみたいなお話もあったんですが、この話はそういうドロドロした話にはしたくないなと思って。
みんなそれぞれ働いて、日々大変なことばかりでヘトヘトなんだから、たまに友達に会って、愚痴ったりバカ話をしたり美味しいものを食べたりして元気をチャージして明日からまた頑張れる、そんな話にしてほしかったんです。
実際、撮影に入る前にみなさん4人でプライベートのごはん会とかされたそうで、そこで仲良くなったんですよという話を聞いて、すごくほっこりしました。
――ファン投票で『デイジー・ラック』が1位になった理由は何だと思われますか?
海野 それぞれが、自分に近い人を見つけられるとかでしょうか。
私もびっくりしたんですよ。だって、人気なくて打ち切りになった作品ですからね……。
でも、みんなで話題にして楽しむような作品ではなくて、個人個人にじゅわっと沁みるような話だから、「自分の中の大切な作品」にしてくれたのかな、と思います。だったら嬉しいです。
――『デイジー・ラック』は海野さんにとってどのような作品でしょうか。
海野 この作品は軽い気持ちでのチャレンジから始まって、打ち切りによる大きな挫折、びっくりのファン投票1位、寝耳に水のドラマ化、と、いろんなものを運んできてくれました。
当時は「女子会」という言葉もまだなくて、「30にもなって女同士でつるんで」みたいな感想も目にしたんですけど、結局40になっても50になってもそんなことしてる、っていう(笑)。
その時はあれこれ言われても、気付いたら世の中の方が変わるんだから、自分の思う楽しいことをやっていこう、と改めて思わせてくれた作品かもしれません。
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海野つなみさんの作品は、「思い当たる節」にビリビリする人が多い。それは、海野さんが「ほんとどんな人でも悩みはあるし、本人にとっては深刻だったりして」と語っていたように、人の数だけ生き方がある前提で、いろんな価値観のある人が描かれているからではないだろうか。だから誰もが「自分らしい人・エピソード」に遭遇するのだ。
さらに、その上で弟のように思っていた友人の弟からの強い求愛にときめいたり、職場の職人の先輩に尊敬と恋の思いが混ざったり、「逃げ恥」ドラマでキャッチコピーになっていたような「むずキュン」も味わうことができるのだ。
『デイジー・ラック』はまだ読んだことのないという人も、「逃げ恥の原点」ともいえるリアルな日常の説得力を是非味わっていただきたい。
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