2022.05.05

年収100万円未満という人も…“あまりに割にあわない”「ピアノ講師」という職の実態

秋山 謙一郎 プロフィール

“趣味”としてのニーズにこたえる

ピアノ以外の世界、職業に比べてピアノ講師は、「好きなことをして収入を得られる」(C先生)という恵まれた環境にあるとの思いがそこにある。

もっとも精神論だけではなく具体的なビジネスプランも持っている。ストリートピアノの定着、昨年のショパンコンクールに端を発したピアノブーム再来は、コロナ禍による巣ごもりでさらに勢いを増した。子どもよりも大人こそ新たな金脈である。その大人の多くは芸、音大を目指す訳ではない。そのニーズは良くも悪しくも“趣味”だ。

「趣味でピアノを楽しみたいという大人の方相手に、細かいことを伝えるとそれだけで嫌になってしまうと思うのです。なので楽しむための弾き方、これをオンラインでグループレッスンにするのです。1対1ではなく、講義形式のレッスンです」

ほかにも定額制にして、月のうち20分程度3回程度、自由に質問をオンラインで受け付けるなど、新たなるピアノ講師業におけるスキームを構築すべく、今、その準備に走り回っているという。音大時代の後輩も巻き込んで、仲間全員がそれ相応の収入を得られる場を作ること、それが今最大の課題だ。

『ピアノの森』より ©一色まこと/講談社
 

「わたしはプロ(のピアノ講師)として収入を増やしてなんぼだと思っています。でも、そこに価値を見出さないピアノ講師がいてもいいのではないでしょうか。なんでもかんでも収入の多寡で人を評価する今の風潮は、とても残念です」

こう話すC先生は、今後、収入がさらに増え、経営が安定すれば芸術か教育に軸足を置き、「この人を育ててみたい」と思う才能をより引き出すことに専念したいと語った。もちろん手弁当で、だ。

A、B、C三者三様のピアノ講師だが、歩む道は違っても、その目指すところは同じなのかもしれない。

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