見られなくても、着物にご対面 

着物の準備と着付けを引き受けてくれたプロの着付け師のあけみさんは、私に引きずり込まれた『着付け隊』(「『禰豆子で憧れ』『振袖着たい』外国人400人を感激させた 着付けプロジェクト」をご参照ください)の一員。体格や骨格が日本人とは大きく異なる外国人の着付け経験も豊富だ。しかし何よりの適任ポイントは、アイデア力とサービス精神がもりもりに旺盛であること。実際今回もその才が大いに発揮されたのだった。 

「ようこそいらっしゃいませ。まずは洗面所で手洗いとうがいをどうぞ」。そしてリビングに導かれた我々が「あっ」と驚いたのは、盛装をまとった二体のトルソーが「お待ちしてました」と言わんばかりに立っていたからだ。 

「ダグワさんは着物に興味があると聞いたので。自由に触って、思う存分着物を見て知って下さい」 

「思う存分触って着物を見て知って下さい」と準備された、礼装をまとったトルソー二体。 写真提供:森優子
写真提供:森優子
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物静かなダグワさんの口から、触れた瞬間に「おおっ」。写真提供:森優子
ダグワさんは時折質問しつつ、丁寧に着物を触り続けた。まるで掌と指先から自分の中に着物をまるごと取り込んでゆくような。 写真提供:森優子

「ではそろそろ、ダグワさんにも着てもらいましょう」 
あけみさんの掛け声で、いよいよ着付けがスタートした。 

じゃーん。刀まで登場。あけみさんの日本史好きな息子さんが昔買ったというレプリカ。手渡して「さあ、あなたは今サムライだ!」と声をかけたらこのポーズ。彼の記憶の中のサムライの鮮明さを感じた瞬間。写真提供:森優子
せっかくだからとサポーターにも着せて神社へお詣り。 写真提供:森優子

「夢が叶いました。とても幸せです。ありがとうございました」 
こちらこそありがとう。日本に来てくれて、着物を好きでいてくれてありがとう。もうそれしか言葉がない。 

さて、それから一週間ほどたったころ、ダグワさんにあらためて着物体験の感想を聞いてみることにした。