
プレゼンターを務めるJAXURY委員会理事で、ユナイテッドアローズ名誉会長の重松理氏は、このプロジェクトに携わるきっかけについて話しながら、「これをやらなきゃ死ねねえな、と思った」と嬉しそうにコメントした。このプロジェクトに出会ったことで、「日本の輝かしい生活文化を後世に残し、未来へと繋いでいく」ことが自分のライフワークになったと。


また、同じくJAXURY委員会理事で脚本家・放送作家の小山薫堂氏も「今後、日本のラグジュアリーは、ものづくりをしている人たちの“良さ”が集まるプラットホームのようなものになるのでは」と予感し、「この活動を通して、“新しい価値”を創出していきたい」と発言している。
委員会理事で、美容ジャーナリスト・エッセイストの齋藤薫氏は、それぞれのアワードの受賞理由を述べるたびに、「使ってみたい!」と思わせるJAXURYな表現を連発。ポーラに対して「好奇心と化粧品効果のつながりを解明するなど、極めて独創的」とコメントした。その効率主義でない「遊び心」のような部分に注目しているところにも、JAXURYという概念の持つ包容力のようなものが感じられた。また、小山氏が、グランドセイコーの受賞理由に、「時の流れが愛おしくなってくる素晴らしさ、力を持っている時計」というコメントも印象に残った。
休憩を挟んで、授与式に移ると、受賞したブランド・企業の代表が一言コメントする。そこにも新しい発見があった。「デリバリーワンダー、美味しさを超える驚きを届けるために尽力して参りました」とコメントしたのは「利他」の部門賞を受賞した「メゾンカカオ」のCFOの石原祥行氏。 そして途中、いい意味で会場の空気がピリッと締まったのは、CFCL代表の高橋悠介氏の発言だった。
高橋氏「これまで、JAXURYに関して、ずっとお話を伺ってきたんですが、ここでいう日本がCountryなのか、Nationなのか、Statesなのかどこに帰属するのか、少し疑問に思いました。時間があれば、後ほど、直接聞いてみたいと思います」
シンポジウム序盤に、じっくりと「JAXURY」の講義が繰り広げられた中で、一旦「日本とは何を指すのか」を疑ってみる姿勢に出会えることも、アワードとシンポジウムがあるこの会ならでは。単なる授賞式なのではなく、それぞれの考えをぶつけ合えるシンポジウムであることの意味と可能性を感じさせてくれた嬉しいハプニングだった。
アワードを受賞したブランドの全てが、「使ってみたい」「身につけてみたい」「食べてみたい」と思わせるストーリーに溢れている。中でも、「泊まってみたい」「体験してみたい!」という衝動に駆り立てられたのが、アワードに選ばれたホテル・宿の数々だ。そのどれもが、周囲の空間と一体化できるような、周りの時空間と調和できるような特別な体験になることが想像できるのに、一つとして似たようなコンセプトの宿がないのだ。なお、部門賞、大賞は以下の通り。