「相手のことがわかる」ってどういうことだろう

浜辺 どれくらいの頻度で会うんですか? 週に1回とか?

岸井 週1まではいかないけど、月1では必ず会っていますね。何か「話したい!」ってことがあると、「話したいことができた」ってメッセージを送って、「会ったときに話すけど、そのときは、メッセージ送ったこと忘れていると思うから、『話したかったことって何?』って聞いて」って頼んでおく(笑)。向こうにとっては、かなり面倒臭い親友かもしれない。会うときも基本はお散歩。二人で喋りながらだと、何時間歩いても全然、苦じゃない。そして、そんなに会っていても、知らないことはまだまだたくさんある。「え? こんなに喋ってるのにまだ知らないことがあったの?」というのが面白くて(笑)。

(c)2022 映画「やがて海へと届く」製作委員会
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浜辺 私の場合は、親友と言っても、相手のことは何も知らないと思います。だいたい、私が自分の話をして、聞きたいことを聞くだけで、向こうは自分の話はしない。だからたぶん、私はその子のことを知らないことばっかりだなぁと思います。でも、聞いてもすぐ忘れるからいいかなって(笑)。それに、私自身も自分のことなんて分かってないから。

岸井 でも、「わかる」ってなんなんだろうね。今回、私は真奈を演じてみて、人のことがわかるわからないって、言葉で説明できるようなものじゃない気もしました。演じているときも、すみれのことがわからなくて、だから追いかけたくなって。どのシーンでも、真奈がすみれの本質を捉えられているんだろうかっていう不安や疑問が、いつも心の片隅にあったんです。でも、最後の方の……ベランダのシーンだったかなぁ。真奈の見た夢みたいなシーンがあるんですけど、そのシーンを撮っている最中に、なんか……言葉にするのが難しいんですけど、セリフのやりとりはないのに、すみれと通じ合ったような気持ちになった。終わった後に、「あ、なんか今の感覚、すごい!」って思った。そのシーンは、予告編に入っていました。ふふふ。

出典/youtube BITTERSENDinc 4月1日(金)公開!90秒予告『やがて海へと届く』

浜辺 いいとこ使うんだからぁ(笑)。

岸井 あのシーンは、撮影も終盤で、佳境を迎えていた頃で、あれを最初の方で撮るのは無理だったと思う。

浜辺 映画を撮っているときって、やっぱり、セットとかメイクとか、時間の経過とか、そういうものにも助けられますよね。私も、真奈ちゃんの部屋でのシーンは、最初に30分ぐらい空間を把握する時間があって、「ここが真奈ちゃんのお家なんだな」と感じることができました。原作と脚本では、真奈とすみれの関係性は少し違いますし、演じてみての感じ方も、脚本を最初に読んだときとは違うんだろうなと思っていたけれど、なんだろうな……。

実際に演じてみると、実はすみれの方が真奈のことを追っていたんです。すみれが引っ張っているように見える関係性だけれど、そうじゃなくて。真奈がこういう行動を起こしたから、すみれがこう動いた、みたいに、真奈が先に動いて、すみれはそれに合わせて動く感じなのかなぁと思うようになりました。

(c) 2022 映画「やがて海へと届く」製作委員会

岸井 でも、真奈は真奈で、行動を起こすのはいつもすみれが先だと思っているんですよ。それが、この二人の関係性の面白いところですね。私はさっき、プライベートの親友との関係に「リスペクト」という言葉を使ったけれど、真奈とすみれもそれに近い感覚があったんだと思います。口には出さないけれど、実はお互いがお互いに作用し合っている。作品もそうだし、美波ちゃんと私の関係もそうだったのかなと思うと、なんだかすごく嬉しいし、有難い経験ですよね。

(c)2022 映画「やがて海へと届く」製作委員会

◇「失いたくない友だち」の存在の大きさを確認しあった岸井さんと浜辺さん。後編「岸井ゆきのと浜辺美波が語る“喪失”「心にぽっかり空いた穴」の意味」では「大切な何か」を失ってしまうということについて詳しく話していく。

(c)2022映画「やがて海へと届く」製作委員会
やがて海へと届く
引っ込み思案で自分をうまく出せない真奈(岸井ゆきの)は、入学した大学で、自由奔放でミステリアスなすみれ(浜辺美波)と出会い、親友になる。それが、2004年のことだった。卒業後も、友情を育み続けた二人。ところがすみれは、2011年に一人旅に出たまま突然いなくなってしまった。そうして2016年――。すみれの不在を受け入れられない真奈のもとに、かつての恋人・遠野(杉野遥亮)が現れ、彼女が大切にしてきたビデオカメラを渡される。そこには、真奈が知らなかったすみれの秘密が残されていた。真奈はもう一度すみれと向き合うために、彼女が最後に旅した地へと向かうのだった。
最注目作家・彩瀬まるの同名小説を中川龍太郎監督が実写映画化。
4月1日(金)全国ロードショー
彩瀬まるさんの原作小説

岸井さん 
ヘア/新宮利彦 メイク/秋鹿裕子 スタイリスト/Babymix

浜辺さん
ヘアメイク/寺田祐子 スタイリスト/瀬川結美子

浜辺さん衣装
ニットワンピース 53900円 カーディガン63800円 共に malamute╱BRAND NEWS