心に穴があくほどの人に出会えたということ

浜辺 喪失感って、見方を変えれば、心にぽっかり穴が開いちゃうぐらいの人に会えたってことですもんね。大切な人を失うことは、誰にとっても怖いことだけれど、私にとって、映画の中で、すみれがいなくなったことは、ただ哀しいだけのことではなかったと思うんです。確かに、真奈とすみれの間には、もっと長く続く未来があったかも知れない。でも、すみれがいなくなったあとも、真奈の中で、かけがえのない時間を共有できた事実は消えなかった。残された人の中から、大切な人の存在は消えないんです。

撮影/山本倫子
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岸井 そもそも、思い合える人と人って、出会えたこと自体が奇跡みたいなもので。「この時間が、永遠に続けばいい」と願えたこと自体が、かけがえがない。その相手がいなくなってしまっても、たとえ忘れてしまっても、忘れるのが怖いと思っていても、二人で過ごした時間は、心の奥底に残っている絶対的な“事実”なんです。だから、たとえ一時的に忘れても、不在を受け入れてしまっても大丈夫。残された人の純粋な思いが失われることはない。「ぽっかり」を経験した人は、それでも人は生きていけること、その人のくれたもの、共有した時間はいつまでも消えないという事実を、受け入れていけたらいいなと思います。映画の中の真奈は、これから受け入れていくんだと思います。

浜辺 そう。悲しみだけを残さない作品になっているので、「ぽっかり」を抱えている人にこそ観ていただきたいです。

(c)2022映画「やがて海へと届く」製作委員会
やがて海へと届く
引っ込み思案で自分をうまく出せない真奈(岸井ゆきの)は、入学した大学で、自由奔放でミステリアスなすみれ(浜辺美波)と出会い、親友になる。それが、2004年のことだった。卒業後も、友情を育み続けた二人。ところがすみれは、2011年に一人旅に出たまま突然いなくなってしまった。そうして2016年――。すみれの不在を受け入れられない真奈のもとに、かつての恋人・遠野(杉野遥亮)が現れ、彼女が大切にしてきたビデオカメラを渡される。そこには、真奈が知らなかったすみれの秘密が残されていた。真奈はもう一度すみれと向き合うために、彼女が最後に旅した地へと向かうのだった。
最注目作家・彩瀬まるの同名小説を中川龍太郎監督が実写映画化。
4月1日(金)全国ロードショー
彩瀬まるさんの原作小説

岸井さん ヘア/新宮利彦 メイク/秋鹿裕子 スタイリスト/Babymix

浜辺さん ヘアメイク/寺田祐子 スタイリスト/瀬川結美子

浜辺さん衣装
ニットワンピース 53900円 カーディガン63800円 共に malamute╱BRAND NEWS