1歳児に漢字教育?

都内の社会福祉法人の保育園で園長を務める女性は「趣旨はわかるが、乳幼児には不要だと思う」と言う。

「立腰教育は以前から賛否両論あります。うちの園では座禅をやらせたこともありますが、5歳児が対象です。年長さんになれば『姿勢を真っすぐしようね』という声掛けはします。そういうことが必要な年齢ですし、小学校へ上がる準備もあります。体幹がしっかりしていない子がいるのも事実です。でも、1歳児にやるなんてあり得ない。そもそも、そうやってひとつの教育方針を極めるのは、保護者が入所先を思い通りに選べない認可園では無理があると思います」

Photo by iStock

例えば、1歳児のわが子に立腰保育をさせたくないと保護者が考えたとしても、せっかく入れた保育園を辞める選択肢はないだろう。私に話してくれた女性も「親御さんたちは園に対してほぼ何も言いません。モンペ(モンスターペアレンツ)と思われるのが嫌なのかもしれません」と言う。

前出した園長は「効果の有無はさておき、乳幼児への立腰保育は子どもにとって心地の良い学びではありません。そういうことよりも、遊びの中で体幹を強くするなどいろいろなことができるはずです」と話す。

-AD-

女性が勤務する園のもうひとつのアピールポイントは「漢字教育」だ。絵本などを用い、カードで漢字を出していく。もちろん1歳児にも行う。立腰し、カードに書かれた漢字を読むのだ。この園では「幼児期の早い段階から、漢字とかなが混ざった文章に親しむことで語彙が増え、日本語を正しく理解する力が育つ」として取り入れている。園長曰く「読書好きの子どもになる」。

だが、保育士にとって、こちらも心地のいいものではないようだ。漢字カードを出すために、本を持っていられないため、絵本を暗記して空読みしなくてはならないという。女性は「みんな大変です。私も苦痛で仕方がない。子どもにいい、必要だと思えば頑張れるけど、1歳児に漢字見せてどうするの?と思ってしまう」とため息をつく。