保育園の重要な意味とは

取材は車で回った。一日に2件、3件と保育園を回るため、前の保育園で少し待たされたり、渋滞に巻き込まれたりすると次の取材に遅れることもあった。2時間以上遅れたこともある。そのときはさすがに怒られると思ったが、園長先生は「全く気にしないで。お母さんがやってることはとてもいいことだもの。焦らず運転に気をつけてね」と言ってくれた。

あの震災のときは、取材に行った保育園がどうなっているのか心配でたまらなかった。なかでも名取市の閖上保育所はもうダメかもと覚悟した。漁港はすぐそばで、かなり古い保育所だった。海が背後にある保育所の風景が頭に浮かび、胸が詰まった。けれど、保育園児も職員も全員助かった。所長さんのとっさの判断が命を救ったと、あとで新聞で読んだ。そして、私が訪ねた保育園はみんな無事だと、うちの子どもたちが通った保育園の園長先生が電話で教えてくれた。

20年前に通った保育園と連絡をする関係が築けるのも素晴しいことだ Photo by iStock
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言葉が遅かった長男は、お友達を噛んだり、けんかすることが多かった。愛情不足だと責められるかと思いきや、先生は私に言った。
「こんなに生きるエネルギーにあふれている子はなかなかいないよ。りんちゃんはエネルギーが有り余ってるだけ。まったく心配しなくていいよ」

私は保育園のおかげで、長男を責めたりせず、穏やかな気持ちで子育てができた。
姿勢も、勉強も大事だろう。でも、子どもの命を守り抜き、閉そく感のある今の社会で子を育てる親を救うのが保育園の役目だと私は思う。

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