1日17時間勤務!休みなんて1日もなかった コロナ「訪問診療」スタッフたちが見た「孤独社会ニッポン」

壮絶700日の記録(後編)
根本 直樹 プロフィール

コロナ禍で見た孤独に苦しむ患者たち

約10年間、訪問診療(在宅医療)のオペレーションに携わってきたという代表の菊地氏だが、コロナ禍の2年間で痛感したことがあるという。菊地氏は言う。

「うちを頼ってくる人の多くが1人暮らしの方です。若い人でも、頼る人が誰もいないからうちに連絡したと言う患者さんがすごく多い。逆に1人暮らしの高齢者の場合、うちのような業者があること自体知らず、ネットも使えないので、1人で苦しんで寝ているしかない。そういう人たちが孤独死してしまう。家族から『連絡が取れないから見てきてほしい』と連絡が入り、行ってみたら、死後数日経っていた高齢の患者さんも実際いました」

コロナによって社会とアクセスできず、1人で引きこもり、精神を害してしまったような患者も多いという。

ナイトドクター事務局に置かれた医療器具ナイトドクター事務局に置かれた医療器具

「リモートの生活が長く続いた結果、孤独に苛まされ、心身に異常をきたしてしまう会社員の方とかも多いですね。

先日も、熱があるから来てほしいと要請され、行ってみたら部屋中ゴミだらけ。悪臭漂う中、ぼさぼさの髪に虚ろの目でじっと部屋の片隅に座っているOLの患者さんを見たときはぎょっとしました。まだ30代前半なのに、顔はやつれ、50歳くらいに見えた。

『コロナですか? 私、死ぬんですか』と訴えてくるのですが、出歩いていないのでコロナに感染するわけもない。実際、熱もなかった。一応PCR検査はしましたが、もちろん結果は陰性。家族や友人との関係も希薄で、ただ寂しくて、不安で私たちを呼んだんでしょうね。程度の差はあれ、こうした患者さんがとても増えています」

 

この2年間、患者の大半はコロナ絡みだったというが、菊地氏は「コロナ以上に孤独というものの危険性を痛烈に感じた2年間でした」としみじみと語る。

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