2022.04.02
# 戦争 # ロシア

海外では「コストコ・ドローン」と呼ばれていた!「ヤマダ電機のドローン」とウクライナ紛争の関係について、もう一度考えよう

「ドローン戦争」の本質とは何か

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻の開始から1か月余りとなった。国連の発表によれば3月30日までに、市民の死者は少なくとも1232人(うち子ども112人)、国外に避難した人の数は402万人に達した。

ウクライナで双方の激しい戦闘が続く中、トルコのエルドアン大統領を仲介とした停戦交渉は続くが、まだ妥結には至っていない。「紛争を長引かせることは誰の利益にもならない。交渉は具体的な成果をあげるべき時に入った」と同大統領は述べたが、世界中が同じ思いであろう。

Photo by GettyImagesPhoto by GettyImages

前回、拙稿『プーチン激怒!ヤマダ電機で買える「ドローン」がロシア軍を敗北へと追い込んでいる。その名は「カミカゼ」』において、さまざまな論点を提示した。

(1) 家電量販店のヤマダ電機でも買える市販ドローンが戦地で大活躍し、ロシアのプーチン大統領・ロシア軍を苦しめていること。

軍事情報サイトOryxで公開された動画の集計によれば、3月23日現在、装甲戦闘車両4両、火砲5門、多連装ロケット砲1両、地対空ミサイルシステム10基、指揮所2か所、通信施設1か所、ヘリコプター9機、燃料輸送列車2両、トラックやタンクローリーなど車両24両を破壊し、推定6億ドル以上の損害を与えたという。

(2) ドローンは、ウクライナ侵攻が起きるまで、多くの軍事評論家に実力を疑問視されていたこと。

(3) 中東で存在感を増す「安価で攻撃力の高い自爆ドローン」は、カミカゼドローンと呼ばれ、突撃が恐れられていること、などだ。

 

安全保障アナリストの部谷直亮氏(慶應義塾大学SFC研究所上席所員)の指摘では、「中国のDJI社製を始めとする民生ドローンの活躍も無視できない。ウクライナ国内外から大量に寄付された民生ドローンを使って歩兵部隊や市民がロシア軍を偵察し、砲撃を誘導する砲兵観測までしている。火炎瓶などの爆発物の投下も行っている」のだという。

前回、文章を読みやすいよう2000字程度にまとめたが、そのせいで伝えきれなかった部分もあった。新しいファクトとともに、今、誕生しつつある新しい戦い「ドローン戦争」についてわかりやすく解説していきたい。

関連記事