2016年に三浦春馬さんがローラに

日本では2016年に小池徹平さんと三浦春馬さんのW主演により上演。三浦さんがブロードウェイミュージカルに出演するのは、同作が初めてだったが、彼の美しく、どこか刹那的なローラが大評判となったことは、今さら私が説明するまでもないだろう。2019年には同じ小池さんと三浦さんで再演。この秋には3度目の上演が予定されている。

2016年にはミュージカル『キンキーブーツ』LA公演初日に、日本人キャストを代表して出席。チャーリー役のアダム・カプランとエンジェルスのひとりサム・ローロフと、記念撮影 Photo by Getty Images

私は日本初演を見ていない。ビリーさんのローラ役が鮮烈すぎて、それを上書きしたくなかったのだ。もちろん今は、なんて浅はかなだったのかと悔いている。公演を見た友人たちから、「三浦春馬がヤバい」「美しすぎた。最初誰だかわからなかった」といったメッセージが続々と届いた。いちミュージカルファンとして、「これは見なければ!」と、思った時には時すでに遅し。チケットを入手できず、結局、私が、三浦さんのローラに出会うまでには、2019年の再演まで、3年の歳月を要することとなった。

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登場シーンは、椅子からずり落ちそうな勢いで、度肝を抜かれた。なんなんだ、この存在感は! どちらがいい悪いではなく、ビリーさんとは方向性が異なる、圧倒的なオーラを放っていた。スターって、こういう人のことを言うのだと思った。なにより私が感銘を受けたのは、三浦さんが三浦春馬としてではなく、ローラとして舞台上に存在していたことだ。目線の流し方、ちょっとした指の動き──。それはローラそのものだった。客席に背を向けている時でさえ、ローラの心情が見て取れた。長年、舞台を見てきたが、そう感じることは決して多くはない。三浦さんが、作品のメッセージを全身全霊で伝えようとしているのが、切ないほどに理解できた。鬼気迫る、気迫のようなものを感じた。尊い、と思った。そして、なにより三浦さんは美しかった。

劇中、ローラがドラァグクイーンの扮装を脱ぎ捨て、ひとりの男性として、チャーリーの前に現われるシーンは、胸が痛んだ。その姿は私たちが見慣れた三浦さんそのものだったが、なぜだか本来の自分を抑えているような痛々しさを感じたのだ。ローラにとって、ドラァグクイーンの衣装やピンヒールは、自分を奮い立たせる、鎧のようなものだったのかもしれない。あくまでも私の解釈だけれど。