2022.04.07
# アメリカ

ウクライナがとどめか、ベトナム、イラク等の教訓を生かさぬ米国

ソ連崩壊後、一人勝ちと勘違い
大原 浩 プロフィール

「世界の警察」をやめようとしたトランプ氏は正しい

このような、「自称世界の警察」による「げんこつ外交」を阻止しようとしたのが、2016年に大統領に当選したドナルド・トランプ氏である。

トランプ氏は、その特異なキャラクターと過激な言動から「拡張主義」「好戦的」とのイメージを持たれがちであるが、事実は真逆である。

ビジネスの世界で修羅場を潜り抜けてきた同氏は、米国の国力の衰えを正確に把握していたようだ。だからこそ、「他国に干渉する『帝国主義』」をやめ「自国第一主義」を推進することによって、「米国を再び偉大な国」にすることに専念したのだ。

実際、トランプ政権時代の4年間において米国は新たな戦争を起こしていない。その過激な言動にもかかわらず、国力を消耗する戦争を嫌ったのだ。あるいは、その過激な言動は、「ブラフ」で相手の戦争行為を抑止するためのものであったともいえる。

それに対して、バイデン政権は就任早々アフガン撤退で大失敗したにもかかわらず、前記「プーチンだけが悪玉か―米国の『幅寄せ、煽り運転』がもたらしたもの」によって、「ロシアに手を出させた」のである。

もちろん、「手を出させた」にもかかわらず、「ウクライナのために第3次世界大戦は戦わない」と冷たく言い放ち、ウクライナ国民を地獄につき落とす「代理戦争」を行わせている。

確かに「手を出した」ロシアが悪い。しかし、「(意図的に)手を出させた」バイデン民主党にも大きな罪がある。多くの人々が指摘するように、「プーチン氏を追い込まなければ手を出さなかった」のである。

 

その点において、バイデン民主党政権は、トランプ時代を除く歴代政権と同じように「世界平和に害を成す」存在である。しかも、自国の国力を無視した「稚拙かつ過激な経済制裁」によって世界経済にも害を成している。

バイデン大統領としては、11月の中間選挙に向けての人気取りのつもりであったのかもしれないが、結果は完全に裏目に出ており、世界が大迷惑を被っている。

そして、2020年10月27日公開「第2次南北戦争も―選挙結果がどうなっても米国の分断は避けられない」で述べたようなことでも無い限り、我々は後3年近くバイデン政権に耐え忍ばなければならない。

2024年の大統領選挙の時点で「手遅れ」になっていないことを切に願う。

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