対ロシアSWIFT規制は効き目なしーエネルギー禁輸が出来ない以上

これの一体どこが「厳しい経済制裁」か

ロシアへの制裁の歴史

ロシアが2月24日にウクライナに進行し、1ヵ月以上が経過した。今回のウクライナ侵攻に対して、日本や欧米各国などの西側先進国は、ロシアに対して経済制裁として規制を行っている。その中の1つに「SWIFT制裁」がある。具体的にはSWIFTネットワークにおいて、「ロシアの銀行」を排除(停止)することである。

ノルドストリーム by Gettyimages

国際的な制裁というと、ロシアのベースにあったソ連(ソビエト社会主義共和国連邦)を始めとした共産主義の東側諸国に制裁的規制がかけられたことがあった。

特に、COCOM(対共産圏輸出統制委員会)が、第2次世界大戦後の冷戦時代、1949年に共産圏諸国に対する戦略物資の輸出を規制するために、アメリカを中心として自由主義諸国間でつくられた。戦後、東西対立(冷戦)が激化するなかで、米国が対共産圏諸国禁輸リストを作成し、対共産圏諸国輸出規制を効果的に行うための執行機関としてCOCOMが設立された。日本でも影響を受け、COCOM対象のソ連などと取引をしていた企業に対し、銀行等の金融機関が貿易決済を停止した。

今回の、ウクライナ侵攻によるロシア向け経済制裁においても、金融機関がその制裁のための規制を実行する重要な役割を担っている。その金融決済規制の主役となるのがSWIFTと言う組織である。世界約200ヵ国の銀行を始めとした金融機関1万行以上が参加する決済ネットワークで、1973年設立、本部は欧州のへそといえるベルギーの首都ブラッセル(ブリュッセル)近郊にある。

 

SWIFTはもともと欧州の銀行間ネットワークが、世界に足を延ばすように伸びていったものである。米国や日本など先進国では、国内金融ネットワークが出来上がっており、そのため、外国為替や外国証券の取引のために使われることとなった。欧州ではネットワークだけではなく、ユーロ(Euro)の決済システム「EBAクリアリング」(Euro Banking Association)にも使用されている。

SWIFTでは、各銀行毎に「SWIFTコード」、正確には「BIC」(Bank Identification Code:口座番号のようなもの)を特定している。すなわち、SWIFTではBICコードで、「国」や「銀行」まで特定が容易に可能で、送金を止めることなどの規制が技術的には可能となる。SWIFTでは、加盟していればだが、国、銀行レベルでの規制(停止)が可能となる。

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