日本発(Japan’s)の、ほんもの(Authentic)の、心地よさ(Luxury)を意味する造語「JAXURY」(読み:ジャクシュアリー)。この言葉を定義とし、世界がときめく日本のラグジュアリーブランド・企業を選定する「JAXURY アワード 2022」が開催されました。その「感性」部門賞を受賞したのがサントリー ウイスキー、「クラフトマンシップ」部門賞を受賞したのがグランドセイコー。
確かなものづくりと巧みな技術で、世界的な注目を集め続ける日本製の腕時計とジャパニーズウイスキー。なかでも日本が誇るブランド、グランドセイコーとサントリー ウイスキーには「移りゆく時を大切にするからこそ、一期一会を大切にする」、そんな、日本人ならではの精神が共通しています。JAXURYを通じて想いが交差する。小山薫堂さんのエッセイとともに、両者の魅力を探ります。
小山薫堂さん
放送作家、脚本家、ラジオパーソナリティー、京都芸術大学副学長。熊本県生まれ。脚本を担当した映画『おくりびと』は第81回米国アカデミー賞外国語部門賞を獲得。エッセイ、作詞などの執筆活動や地方創生の企画にも携わっている。「まってる。」(千倉書房)は、ひとりの男の子が、さまざまな「まってる」に出会って成長していくお話。ヨーロッパで大人気となった絵本を小山さんが翻訳し話題に。
「待つという幸せ」
待たない時代になった。待たされない時代になった。
人を待たせないために技術革新が繰り返され、いつの間にか、待てない人が増えた。待たされることを人々は嫌うようになった。
メールを送り、返信が遅いとイライラする。時間のかからないことを便利と感じ、それを幸せのように錯覚してしまう。
でも……便利と幸せが必ずイコールとは限らない。
待つ時間を楽しいと思えるようになってから、私の日常は少しだけ豊かになった気がする。待つということの尊さを考えてみる。すぐには叶わないから、夢に夢としての価値があるように、待っている時間があるから、到達した瞬間に価値が生まれるのだ。
暑い夏があるから冬の雪が恋しくなり、その寒さから今度は春が待ち遠しくなる。自然と共に暮らし、四季の移ろいの中に美を見出してきた日本人は、待つことの喜びを本能的に知っているのではないだろうか。
素晴らしいウイスキーが時間によって磨かれるように、待つ時間は人の想いを熟成させる。自分の一秒一秒をもっと大切に味わいたい。そう思うと、同じところをグルグルと回る時計の秒針が愛おしく見えてくる。
あなたは今、何を待っていますか?
サントリー ウイスキー
世界に認められた日本のウイスキー「山崎」
ウイスキーの命である水。四季折々の変化が感じられる自然豊かな地でありウイスキーの熟成に最適な温暖かつ湿潤な気候。どちらも兼ね備えた水生野(みなせの)と言われる名水の里、山崎で1984年に誕生したシングルモルトウイスキー「山崎」。山崎蒸溜所で生まれる多種多様な原酒を掛け合わせ絶妙なバランスで組み合わせることで、山崎の風土そのままに、ジャパニーズウイスキーらしい穏やかで奥深く、複雑な深みのある味わいが完成。

グランドセイコー
世界最高級の腕時計
「信州 時の匠工房」近くにある白樺林からインスピレーションを受け誕生したモデル。腕時計としての使いやすさや美しさをさらに追求した独自のデザイン文法「エボリューション9スタイル」により、めりはりある針と略字で高い視認性を、低重心に設計されたケースにより装着性を実現。スタイルを選ばず長く愛用できる、進化を続けるグランドセイコーの次代を牽引する逸品。

独自の基準で、世界の逸品に
サントリー「山崎」は名水を求め山崎の地に辿り着き、ウイスキーを熟成させる樽は選定から製造まで自社で管理。さらに、百万樽近くともいわれる原酒の中から様々な種類を組み合わせ、深みのある個性的な味わいを生みだします。ウイスキーを構成するすべての要素が徹底的にこだわりつくられたからこそ、日本だけでなく世界中で愛される逸品に。そして、グランドセイコーは世界最高峰の技術により誕生した、機械式とクオーツ式のメリットを融合した第3のエンジンと呼ばれる「スプリングドライブ」が、世界から高い評価を獲得。両者ともに唯一無二の技術を武器に世界に挑戦し、躍進を続けています。
時のうつろい
ムーブメント開発から出荷まで、全工程を一貫して自社で行っている世界有数のマニュファクチュールであるグランドセイコー。「機械式時計の聖地」と呼ばれる「グランドセイコースタジオ 雫石」を岩手県・雫石に、長野県・塩尻には独自のムーブメントであるスプリングドライブの製造などを担う「信州 時の匠工房」を構えます。一方、サントリーは大阪府・山崎の地に「サントリー 山崎蒸溜所」を建設し、「世界に誇る、日本のウイスキーをつくりたい」との想いから日本初のモルトウイスキーづくりの第一歩をスタート。それぞれの場所の前に広がるのは、澄み切った空気と美しい水に恵まれた日本が有する豊かな大地。自然が織りなす時のうつろいを大切に、何年、何十年と時間をかけて育まれた腕時計とウイスキーは、まさに日本の誇りなのです。
光も陰も美しい
東洋では光と陰を共存させることに美を見出し、とくに日本人は、障子や日本庭園、茶の湯など、光と陰のグラデーションを敏感に感じ取る文化があります。グランドセイコーは時間を確認しやすいよう、ケースや針などの平面を増やすことでより多くの光を受け止め、同時に黒く落ちる陰の部分をも作り出すなど、「中間の美」を慈しむ繊細な感性を時計に表現しました。同じく、光と陰の移ろいは、グラスに佇む「山崎」の美しい琥珀色にも現れています。時計とウイスキーに宿る光と陰には、日本人ならではの美意識が存在しているのです。
サントリー ウイスキー
https://www.suntory.co.jp/whisky/yamazaki/
セイコーウオッチ(グランドセイコー)
☎0120-061-012
●情報は、FRaU2022年5月号発売時点のものです。
※本記事で紹介している商品の価格は一部を除き消費税を含んだ金額です。なお一部の商品については税込価格かどうか不明のものもございますのでご了承ください。
Composition & Text:Nirai Ikeshiro