インフレの最中の経済制裁、その「大ブーメラン」でドルが崩壊するシナリオ

石油や小麦が通貨になる?

食料とエネルギー無しでは生きてはいけない

現代社会においてマネー(お金)の力は絶大だ。大変悲しいことだが、お金のために他人を地獄に突き落としたり、時には殺人まで犯したりすることもある。

だが、2020年5月15日公開「『日本円は紙くずにならないのか?』コロナ対策バラマキの今、考えたい」の副題「お金とは狐がくれる木の葉である」という側面もある。

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必死の思いで手に入れたお金が「木の葉」になってしまってはあまりにも悲しい。例えばハイパーインフレなどの形で、「事実上木の葉」になった事例は数限りなくある。第1次世界大戦後のドイツのケースは有名だが、最近でも若旦那氏の「ハイパーインフレで『地獄』と化したベネズエラ、そのヤバすぎる現実」記事のように、ベネズエラで天文学的数字のハイパーインフレが起こっている。

この記事は、2019年7月25日公開だが、3年弱が経過した現在、多くの国々で「明日はわが身」という状況になりつつある。

例えば、1月20日公開「我々がトルコに学ぶべきこと―インフレ対策『言うは易く行うは難し』」で述べた、トルコの激しいインフレは、解決されるどころかまだまだ加速中だ。

今年の始めに起こったカザフスタンの暴動は、LPG(液化石油ガス)の価格上限が外され2倍に跳ね上がったことが直接のきっかけである。

また、スリランカのラジャパクサ大統領は4月1日に、全土に非常事態を宣言した。生活必需品が不足している上に物価は高騰している。外貨不足で燃料輸入ができず、1日13時間の計画停電を実施していることで国民の不満が高まり、暴力的な抗議デモが起きていることが大きな原因だ。

さらに、4月5日にはペルーのペドロ・カスティジョ大統領が、燃料高騰に抗議するデモが暴動に発展し道路が封鎖されたのを受け、首都リマと、隣接する港湾都市を対象に外出禁止令を出している。

昨年10月18日公開「インフレ&中国発不況-スーパー・スタグフレーションが襲ってくる!」、同10月30日公開「4半世紀デフレの後の『反動インフレ』は起きてしまったら制御不能か」で恐れていたような事態が、世界各地でいよいよ現実のものになっているようだ。

 

もちろん食料が無ければ人間は生きていけないが、石油、ガス、電気などのエネルギーはそれに準じる存在であり、その不足や価格高騰は(暴動によって)政権を転覆させかねない。

結局、そのような必需品と交換できない(物やサービスの裏付けが無い)通貨は、紙くずになりえるということなのだ。

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