「黒服」はメッキリ減った
ホストクラブはともかく女性が接遇するクラブやキャバクラでは「黒服」は「キャスト」を支える黒子として不可欠な存在だが、百貨店の「黒服」は顧客にも取引先にも評判が宜しくない。
派遣店員が頑張って販売している横で腕組みして監視している印象が悪いからなのだろう。
百貨店御用達のマダムたちが集まる場でも、『お給料の高い「黒服」が何もしないで立ってるから百貨店は割高になるのよね』など辛辣な指摘を聞いたことがある。何もしないで立っているだけではないのだが、業界に精通している者としても「黒服」を弁護するのは難しい。
実は「黒服」には3様の立場がある。若々しいのはフロアの運営を管理する売場主任や係長であり、「立っている」のではなく混雑状態や売場要員・レジ要員の逼迫などを監視して顧客の利便と安全を図っている実務者だ。
お偉方風なのには二様があり、ホントに高位の店長や部門長、時には社長や会長も売場を巡回している。エグゼクティブ風でも物腰が柔らかいのが「階長」(立場は察してください)で親切に案内してくれたりもするが、偉そうに腕組みしている役職不明な「黒服」も存在する。
00年代初頭までは確かに「黒服」が目立っていたが、リーマンショックや合併を経て人員整理が進み、近年はメッキリ減った印象がある。もはや「高給取り」でもないのだろうから目くじらを立てる必要もないと思うが、彼らが現実を直視して革新しなかったから百貨店が没落したのだと思うと、「ただ立っていた黒服」と揶揄したくもなる。